IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>85.「IT経営力大賞」シリーズ 共栄産業(上)
2009/03/16 16:40
週刊BCN 2009年03月16日vol.1276掲載
経営の「見える化」で攻めの戦略へ
共栄産業は、業績を伸ばすためには「攻めの戦略」が欠かせないと判断、それを遂行する手段として、販売部門のIT化を推進しようと考えた。現段階は、どのようなシステムを導入するかの選定に入っているところだ。SaaSをはじめ、いくつかの導入シミュレーションを想定しており、間もなく最終決定する。同社は1968年に創業し、時計の修理を柱に事業領域を広げてきた。今では、スイスなどの高級時計を輸入販売するほか、修理や時計専門テナントも構えている。攻めの戦略としてIT化を図ろうとしているのは、時計部門に選択と集中を行い、顧客との連携強化に向けたビジネスモデルの改革だ。

中長期経営計画の策定を開始したのは08年。ITコーディネータ(ITC)の阿部満氏がかかわるようになってからだ。共栄産業と阿部ITCが出会ったのは、東京商工会議所で開催されたIT経営応援隊のセミナーで、共栄産業のCIOである秋田秀仁・取締役が講演したことがきっかけだ。同じセミナーの講演者だった阿部ITCと面識を得た。阿部ITCは、IT経営による「見える化」についての第一人者である。「(私の手法と)タイアップすれば、共栄産業は時計修理部門を中核に必ず成長する」と、阿部ITCは感じたそうだ。というのも当時、共栄産業は修理分野をIT化して業務フローを改善することにより、守りの「見える化」を実現した実績を持っていたからだ。「守りの『見える化』に加えて、攻めの『見える化』を実現すれば、業績はもっと伸びる」(阿部ITC)。共栄産業の秋田取締役も、「確かに、売り上げを伸ばすためのIT化には取り組んでいない。何とか打開できないか」と頭を悩ませていたそうだ。そこで、共栄産業と阿部ITCによる二人三脚のITプロジェクトがスタートすることになった。08年から1年間かけて中期経営計画を策定、次のステージとして攻めるためのIT化に着手できるまでに到達したのである。(つづく)
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