視点

4K×2Kは「幸せのディスプレイ」

2009/02/23 16:41

週刊BCN 2009年02月23日vol.1273掲載

 劇画AKIRAのブルーレイ化で音楽を担当した脳科学者の大橋力氏(芸能山城組主宰)は、こう私に言った。「アルファ波はSD(720×480画素)よりフルHD(1920×1080)を見ている時のほうが遙かに多く出ます。しかし、最もたくさん出るのが4K×2K(4000×2000)です。4K×2Kは、人類の幸福のために絶対に必要な映像なんです」。大橋氏は、「超音波が人間の健康にプラスする」との学説を発表し、人間は20kHzまでしか聞けないという常識を打破した。経済産業省では100k0Hzまでの超音波を社会に浸透させるプロジェクトを実行する運びとなっている。市井の一学者の学説が国を動かしたのだ。

 大橋氏の最新の研究成果が、画素数と健康の関係だ。確かに従来のアナログ放送よりもハイビジョンのデジタル放送のほうが、覚醒力は遙かに高いというのは感覚的にも分かるが、大橋氏は「フルHDでは健康のためには不十分で、4K×2Kなら理想的」とする。そこで、ついに4K×2Kディスプレイが商品として登場する。


 CES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)で東芝は、60型以上の大型液晶テレビを4K×2Kにするという。とはいえ、4K×2Kカメラも最近できたばかりで、ほとんど普及していない。コンテンツはどうするのか。そこで提案されたのが、超高速プロセッサのCellを使うフルHDから4K×2Kへの超解像処理だ。いまの液晶テレビ「レグザ」で採用されている再構成法アルゴリズム(理想のカメラモデルと比較し、足りないデータを補完する)をベースにしているのだが、Cellは高速処理が得意なので、現行のシステムでは一回のフィードバック・ループのところ、三回回せるという。


 現場で試作機の映像を見た。OFF(フルHDから4K×2Kへの通常のアップコンバート)とON(Cell超解像)とを比較してみた。解像感はかなり違う。OFFではべたっとした感じだが、ONではかなりディテールが出てくる。4K×2Kらしい格段の精細感になりそうだ。超解像が面白いのは再生系に特化した技術であり、「規格」ではないことだ。解像力を上げるためには、どんなテクニックを使ってもよい。そのために、技術的な発展性が高い。


 画像が精細になればなるほど、映像のリアリティが増し、脳を刺激し、幸せにする物質を出す──大橋氏の言う「幸せのディスプレイ」の実現は、超解像技術が決め手になりそうだ。

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