IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>80.「IT経営力大賞」シリーズ コンチネンタル(下)
2009/02/09 16:40
週刊BCN 2009年02月09日vol.1271掲載
明確な指標を基に生産性競う
コンチネンタルが宇田川静夫ITCとともに取り組んだ「経営戦略」の立案では、まず作業工程の“基準”を明確にした。標準的な工数や時間を分析。現場スタッフ自身の作業工程が経営戦略で定めた基準を満たしているかどうか容易に比較できるようにした。現場の工程をつまびらかにしていくことで、無理や無駄を省き、経営の透明性を高めることに力を注いだ。これにより、「スタッフ全員が、『いま何をすべきなのか』を明確に示した」(岡田幸雄社長)と狙いを語る。自らの強みや弱みを把握するため「SWOT分析」を行い、業務プロセスや顧客、人材など総合的な業績評価指標を示す「バランスト・スコアカード(BSC)」を作成。企業ビジョンを打ち立てて、現場の目標とすべき指標に落とし込む。経営戦略の第1ステップは「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」の“5S活動”の基本動作から始まり、段階的により高度な業務改革に取り組んだ。
この結果、すべての工程が生産管理システムに反映できるようになった。品質を保ちながら、「誰が、どのくらいの時間をかけて、どの工程を、何時間でこなしたか」をシステム上で比較できるようにしたのだ。受発注や在庫管理といった従来のおおざっぱな生産管理から、個別の作業に大きく踏み込んだ工程管理へと、システムの適用範囲を拡大。課題だったデータの入力作業という負担増は、バーコード方式を採用することで軽減した。作業を改善し、効率を高めたスタッフは、あらかじめ定めた基準によって公平に評価される。一連の施策により、「自然にモチベーションが高まった」(宇田川ITC)という効果が現れた。
コンチネンタルでは、多品種少量の板金加工がメイン。1か月間に2500種類もの製品を加工する。まったくの新規で加工を依頼されるケースもあるが、なかには同じ形状のものを依頼されるリピートオーダーや、類似的な加工も少なくない。過去に蓄積した図面や作業工程を参照しながら、最も効率のよい工程を組む。システム導入前は、1か月間に1200~1300種類の加工が限度だったが、今では2倍近くに加工能力が向上している。売上高も1.6倍に増えた。“5S活動”で整えた下地も、経営戦略の実行を支えてきた。
今回導入したアマダの生産管理システムは、全国で約700社に納入実績がある。だが、コンチネンタルのように「全商品、全パーツに適用し、スタッフ全員が透明度の高い共通の指標に基づいて効率化、改善を競い合う事例は珍しい」(アマダの販売担当者)と驚きを隠さない。個々の指標の達成は、経営戦略を遂行する推進力となる。景気減退で厳しい受注環境が続くが、「改革の真価を試す時がきた」(岡田社長)と、勝ち残りに手応えを感じている。(次回は第一交易)
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