IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>79.「IT経営力大賞」シリーズ コンチネンタル(上)
2009/02/02 16:40
週刊BCN 2009年02月02日vol.1270掲載
全員参加で業務改革を遂行
板金加工のコンチネンタル(富山市、岡田幸雄社長)は、生産管理システムを社員全員で活用することで生産効率を高めている。生産管理システムは、工場の管理部門や経営者層のマネジメント用に活用されることが多い。コンチネンタルでは、同システムを生産現場のスタッフと共有し、作業工程の改善や製造にかかる時間の短縮、品質の向上に役立てた。システムの開発元で板金加工メーカーのアマダも「全社で活用しているのは、極めて珍しいケース」と絶賛する。全社活用のベースとなったのが、ITコーディネータ(ITC)の経営指導である。2002年、富山県や中小企業基盤整備機構などが出資する産業振興・情報化推進団体の富山県総合情報センターで行われた経営者研修会に参加したことが、ITCと出会うきっかけとなった。ITを活用した経営革新のコンサルタントを担うことになった宇田川静夫ITCは、さっそく同社の「経営戦略の策定支援」に乗り出す。経営戦略をバランススコアカード(BSC)にまとめ、そのうえで生産管理システムなどのITを活用。BSCで定めた経営指標に沿って行動する仕組みをつくった。
コンチネンタルには技術系の社員が多いこともあり、IT化そのものは比較的早くから取り組んできた。最初は95年、CAD製作用に近くの家電量販店でパソコンを購入。必要に応じてサーバーや図面読み取り用の大型スキャナなどのIT機器を買い足した。受発注や在庫部品の管理に表計算ソフトを使うところまで進展する。ただ、この段階では、本当の意味でコンピュータを活用するというよりは、社長をはじめとするベテランの勘に頼る「“カン”ピューターの域を出ない」(常川晋・常務)状態。表計算ソフトでは管理しきれなくなった01年、アマダの生産管理システムを導入した。
とはいえ、この時点では全社で十分に生産管理システムを活用しているとは言えなかった。
システムをフルに活用するには、作業現場での入力作業が不可欠。ただでさえ忙しい現場のスタッフに負荷がかかる。かといって入力作業を代行する事務員を増やすと人件費が嵩む。コスト削減がITの大きな役割の一つであるにもかかわらず、「ITの導入によって逆にコストが増え、現場での作業効率が落ちた」(岡田社長)という矛盾に直面。現場スタッフの動機づけも弱く、壁に突き当たった。
突破口となったのが、宇田川ITCと協業してつくりあげた「経営戦略」だった。「ITと経営のギャップを埋める」(宇田川ITC)コンサルティングが、コンチネンタルが抱える課題の解決に結びつく。
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