IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>77.「IT経営力大賞」シリーズ 大協組(上)
2009/01/19 16:40
週刊BCN 2009年01月19日vol.1268掲載
多角化で分散した経理を一元処理
昭和36(1961)年、鳥取県米子市で創業した大協組(小山典久社長)。砕石業から始まり、土木、建築、温浴施設のほか、4年前からは王子製紙米子工場から出たボイラー燃料カスをリサイクル砕石化する、産業廃棄物処理ビジネスにも着手するなど、多岐にわたる事業を展開している。近年、公共事業費はピーク時の4割程度まで削減されており、砕石販売の単価下落により競争が激化。大協組は転換期を迎えていた。そんななか、オフコンベースの経理システムから、会計パッケージ「建設大臣」とカスタマイズによるPCベースのシステムにリプレース。またベンダーが砕石販売システムのノウハウも持っていたことから、それも併せて導入した。
新しく導入した砕石販売システムでは、採石工場の事務所にトラックスケール(重量計)と連動したPCを配置し、空のトラックと砕石搭載後のトラックの重量差から砕石の種類と出荷量を自動で導き出せるようにした。販売データはインターネットで本社の経理システムに送信する。また、これまで別途処理していた産業廃棄物のマニフェスト処理、温浴施設の経理業務も本社で集中して処理できるようになった。
こうした業務効率化により、余剰な経理業務を圧縮。仕事の品質が向上し、休日出勤や持ち帰り残業はほとんどなくなった。とりわけ「社内の人材改革につながったことが大きな功績」(小山社長)となった。
オフコンのシステムを使っていた当時、手書きの帳票類を中心として業務を行っていたが「人手による作業はミスも多く、伝票管理など、さまざまな情報が把握しづらい状況だった」(小山社長)と振り返る。また、産業廃棄物、温浴施設といった多角化により経理業務が分散し、経営に必要な情報を得るための時間がかかっていた。砕石販売においては、地理的に離れた山の中にある採石工場事務所で伝票を処理し、さらにそれを本社に持ち帰り、経理システムに同じ情報を入力する必要があった。こうした二重の作業により業務が煩雑になるなど、悩みも多かった。
新システムへのリプレースのきっかけとなったのは05年。オフコンのリース期限切れが近づいていたことから、小山社長は取引のあったベンダーに問い合わせした。すると、ベンダーから新システム導入のための分厚い提案書が送られてきた。この状況に困惑し、取引先の銀行に相談したところ、ITコーディネータの上田治城氏を紹介された。
上田氏はまず、新システムを導入することにより、実現することを明確にするため、05年4月、大協組にプロジェクトチームを立ち上げた。チームにはシステム担当者や、経理など各部署から6人程度が参加し、協議を開始した。
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