次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>87.最終回 「できないはずはない」の力

2009/01/12 16:05

週刊BCN 2009年01月12日vol.1267掲載

 2007年4月から1年9か月にわたってメーカーからSIer、ISPなどさまざまなベンダーの新しい取り組みを取材してきた。企業内で起業する人たちは、どのような思いでプロジェクトを立ち上げ、実ビジネスに結び付けようとしているのか。産声をあげる前に立ちはだかる壁、歩き出してからぶつかる壁……。どんなプロジェクトチームも必ずといってよいほど直面する障壁を、いかに乗り越えてきたか。この連載の狙いは、動き出したばかりのプロジェクトの姿を等身大で映し出すことにあった。これまでの取材を通じて浮き彫りになった事柄をまとめてみたい。

 子どもを守るためのソリューションからはじまり、監視カメラのソリューションや、ソフトウェアの品質保証事業、ビジネス向けのSNSやOSSなどなど。振り返ってみると、実に多彩なビジネスが世に生まれているものだと実感した。


 そこに共通しているのは、何か物事を成し遂げようとする人は、失敗や苦労を重ねながらも自ら道を切り開いていく粘り腰をもっているということ。


 自らのほんの些細な問題意識やアイデアから生まれたビジネスもあれば、会社から指示された大きなプロジェクトの場合もあった。企業が新しい取り組みを新人育成の場として活用するケースもみられた。


 新事業が「市場性に乏しい」といった理由でプレゼン段階でトップ層に突っぱねられても、果敢に再チャレンジして実現させたプロジェクトチームリーダーの話には説得力を感じた。


 特に印象に残っているのは、ある企業のプロジェクトリーダーの口から出た言葉だ。


 「会社の人間は『できるはずがない』と口にしがちだが、ともに仕事をしたベンチャー企業の社長は『できないはずはないのでやってみます』と力強く答える」


 確実に成功するという保証などまったくないなかで、ビジネスを形づくるのには、知力だけでなく体力が要る。そして何よりも気力が求められるはずだ。彼らを突き動かしてきたのは、「できないはずはない」という強い思いだったのだろう。


 最終回にあたり、この場を借りて取材に応じてくださった方々にお礼を申し上げたい。それぞれのビジネスが見事な花を咲かせることを心から念じて。(おわり)(鍋島蓉子●取材/文)

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