視点
ITによる「CHANGE」実現の2009年に向けて
2008/12/22 16:41
週刊BCN 2008年12月22日vol.1265掲載
仕事では、かつて日銀のWebサイトを作って日経から大賞を頂いたこともあるが、その私から見てもインターネット上のサービスは随分と便利になった。本はアマゾンで1円(古本、送料別)から買え、稀少なCDやチケットをヤフオクでGETできたりする。今年1年を振り返っても、「グーグル・ストリートビュー」に驚き、最近では「あの人検索・スパイシー」などを結構便利に使っている。恐るべき時間・距離効率の向上と言えよう。
その割に、ITによって人生が楽しく豊かになっているのか? は大いに疑問だ。私より短くしか生きられなかった明治維新の偉人たちのほうが余程大きな仕事を成し遂げたことは明らか(冷汗)だが、それは同じ24時間を使う各人の「志」の問題が大きいのかもしれない。
肝心のビジネスの側面から見ると、次第にハッキリしてきたのは、「便利で安いものしか使われない」ことだ。例えばかつての電子認証や最近の生体認証など、理屈は優れていても面倒臭いものは、すぐには普及しにくい。それよりも大きな問題は、金融業を含む既存の産業において、先進IT技術を活用した新サービスが百花繚乱とならないことだろう。
「100年に一度の危機」とも称される金融経済環境の下で、革新的で多様なビジネスモデルを早く創造しないと、新興のITサービスに先を越され(呑み込まれ)かねない、との懸念もよぎる。「情報サービスは無料」との常識が広範化するなか、インターネットで儲かる時代は永遠に来ないのか? だとすれば、セキュリティの観点も含め、業務用の新ネットを構築するところから始めないといけないのか? 悩みは深い。
私自身は、情報の濃霧注意報の中で、「ITに人間が振り回されない機軸」を探りつつ、折り返し点を過ぎた人生を実り多く過ごすためのIT活用を目指したいと思う。米国はもとより、日本も世界も、そして個々人も、来るべき2009年が新たなCHANGE(変革)への船出となり、「100年に一度のCHANCE」の年に変わることを祈りつつ、皆さま良いお年を!
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