視点
ベトナムITへの期待
2008/12/08 16:41
週刊BCN 2008年12月08日vol.1263掲載
ホーチミン市は南ベトナム時代の首都だった都市で、当時はサイゴンと呼ばれていた。ベトナム戦争が終わって30年以上経つが、それまで駐留した米国の影響がまだ残っていて、米ドルが現地通貨と全く同じように使える。米国にいるような感覚になった。
ホーチミン市の人口は約800万人で、地方からの流入によってさらに毎年20万人増えているそうだ。人口1000万人の大都市になるのもそう遠くないだろう。現在、日本企業が200社ほど進出しており、在住の日本人はおよそ4000人だという。
人口が多いわりには、交通基盤の整備が遅れており、公共の乗り物はバスだけである。市民の多くはバイクで移動する。いまは都市機能が十分ではないが、これから社会基盤の整備が進めば、魅力的な大都市になるだろう。
日本がソフトウェア開発を発注する先で圧倒的に多いのが中国、ついでインドが中国の三分の一程度、3位がベトナムである。3位とはいっても、中国やインドとは大きな差がある。
ホーチミン市のIT事情であるが、市の中心部から西へ15㎞のところにソフトウェアシティと呼ばれるIT団地があり、大小100社ほどのIT企業が集まっている。その数社を見学したが、日本やヨーロッパからの仕事を受託していた。中には三交代の24時間体制で仕事をしているところもあった。
ホーチミン市には約500社のIT企業があるそうだ。そして、そのうちの200社が加入するIT関係の協会がある。その副会長と懇談をしたが、日本とのビジネスを強く望んでいた。
ベトナム人は真面目で優秀な人材も多いといわれている。特に若い人は向学心が強く意欲的である。ホーチミン工科大学は理系で評価が高く、IT人材の育成にも力を入れている。国際的な学生ロボットコンテストでも上位に顔を出すほどの実力がある。
ベトナム人は日本人と顔や体格が似ており、勤勉で穏やかな性格も共通しているので、日本人とは相性がよさそうだ。IT人材がさらに育ってくれば、IT分野でのパートナーとして、中国やインドを超える存在になるかもしれない。
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