ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR
公務員のICT能力を評価 賞金つきの試験を実施
2008/09/22 16:05
週刊BCN 2008年09月22日vol.1252掲載
11.今回のテーマ■公務員の能力試験
8月から9月にかけて、韓国では全国の自治体や省庁などで「公務員情報化能力競進大会」が開催されている。自治体別、省庁別に予選会が開かれ、成績優秀者には賞金とともに、毎年10月2日に行政安全部の主催で実施される「中央競進大会」に代表として参加できる資格が与えられる。この大会の目的は公務員の業務能力を高めてよりよい住民サービスを提供することにあり、電子政府や公務員情報化教育の成果を把握するためでもある。大会では、インターネットの基礎知識をはじめ行政業務に必要な個人情報保護などの情報化政策をどの程度知っているか、電子政府を使いこなしているか、統計表やプレゼンテーション文書の作成や情報化された行政業務を能動的にこなせているかといった能力がテストされる。個人情報保護、国家情報化、電子政府関連法と制度など情報化政策に関する筆記試験も行われる。
韓国では、会社でも公共機関でも業務そのものが情報化されているのでパソコンがないと仕事ができない。国家事業として行政の情報化はどんどん先へ進んでいるのに、公務員がそれについていけないようでは意味がない。行政を効率化し、国民にきちんとサービスするためにも、公務員のICT活用能力を高めなければならないとして、その分野の教育も綿密に行われている。
情報化能力競進大会は公務員のICT活用能力向上を目指して1994年から始まった制度である。大会に参加するのはあらかじめ申請した希望者だが、参加者は毎年倍増のペースで増加している。一度採用されたら定年までクビにはならないと「鉄の茶碗を持った人」とも呼ばれた公務員。それが、実用性を重視する政府になってからは省庁の再編などで公務員のリストラも徐々に行われようとしている。そのせいか、公務員たちも自分がどのように評価されているのかを意識せざるを得なくなってきている。
公務員のICT活用能力を競わせてレベルアップを図るのはとてもいいことだ。だが、書店に「公務員情報化能力競進大会対策参考書」といった対策本が並ぶほど過熱しているのはおかしな話である。点数稼ぎより日々の積み重ねの結果としての業務能力を評価できるようにすべきだろう。(趙 章恩●取材/文)
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