ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR
シンクタンクの中小企業支援 技術支援派遣や諮問など
2008/08/04 16:05
週刊BCN 2008年08月04日vol.1246掲載
5.今回のテーマ■ETRI
韓国政府の技術系シンクタンクであるETRI(韓国電子通信研究院)は、2008年からすべての研究員が中小企業の技術イノベーションのための活動に参加し、研究開発のための技術を支援したり問題を解決するといった「お助け制度」を運営することにした。中小企業の育成・支援のために政府系シンクタンクの人材を積極的に活用するこの制度は、市場とフレンドリーな政府になるという李明博政権の政府組織改編によって実施されることになった。「政府の技術系シンクタンクは技術を開発することだけが目的なので市場で売れない技術ばかり開発している」といった批判があったことも制度発足の背景にある。
この制度により、ETRIのすべての研究員は勤務時間の10%以上を中小企業支援の研究に使わなくてはならなくなった。中小企業の役に立つシンクタンクになることを目指し、イノベーション型中小企業向けの研究開発支援策としてプロセス段階別改善方向と短期、中期、長期に分けた実行項目を作成している。

ETRIは中小企業と密接な関係を築くことで市場需要とのギャップをなくし、市場が要求する技術の需要変化を研究計画に随時反映、製品化の成功率を高めるのが狙いである。中小企業の悩みである研究開発要員の不足についても、ETRI研究員の派遣や出向で解決できるのではないかと期待されている。(趙 章恩●取材/文)
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