視点
管理・監督者問題に思う
2008/06/23 16:41
週刊BCN 2008年06月23日vol.1240掲載
諸外国の労働時間をみると、米国は1週40時間、フランスは1週35時間で、ともに1日の上限はない。一方、1日の上限が設定されている日本では、法規制をクリアするには、変形労働時間制という仕組みを導入する必要がある。例えば、4週間単位で変形労働時間制を導入すると、1日8時間を超えて働いても、トータルで4週160時間内に納まっていれば、割増賃金支払いが不要になる。この制度を導入する際には、事前にシフトを組んでおかなければならない。このシフト通りにいけば問題ないのだが、シフトを超えた場合にはやはり割増賃金が発生することになる。労働時間管理のソフトウェアも数多く出ているが、シフトを設定でき、実際の労働時間との差がどのような割増率になるのかまで完全対応している製品は、いまだお目にかかっていない。もし発売されれば、ヒット商品になるのは間違いないと思われる。
IT業界では、多くの企業で「専門業務型裁量労働制」を採用している。これは仕事の進め方を自由裁量に任せるのが適した業種に限って、一定時間労働したものとして取り扱うという制度で、プログラマ等が対象となる。今年3月1日から施行された労働契約法には当初、ホワイトカラーエグゼンプションという仕組みが検討されていた。これは、一定年収以上の人を労働時間の管理から除外する、つまり、管理・監督者と同様に取り扱うものだ。結局はつぶされたが、あいまいな管理・監督者よりも、一定の職種で一定年収以上の人を適用除外する制度自体は合理性もあると思われる。
わが国も、あいまいな通達行政から脱皮し、個人の健康管理も含めて本格的な議論が必要になっていると強く感じる。
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