次世代Key Projectの曙光
<次世代Key Projectの曙光>53.NECネクサソリューションズ(上)
2008/04/28 20:42
週刊BCN 2008年04月28日vol.1233掲載
青果市場向けSaaSを立ち上げ
NECネクサソリューションズ(渕上岩雄社長)は、青果市場向け販売管理サービスである「ICHIBANSEICA for ASP・SaaS」を販売している。同社は20年来、青果市場向けのプロダクトに取り組んできた。青果市場が伸び悩むなか、ASPもしくはSaaSでの提供、そして業績連動型というビジネスモデルにより、青果市場業者のシステム導入コストの削減を後押しする。同社は長期間にわたって青果市場向けのシステムを手がけており、思い入れも深い。ASP・SaaSでのサービス提供に着目したのは、青果市場の実情をよく知っていたことと、全社的な戦略として、中小企業を開拓することが背景にあった。
青果市場は委託販売手数料で利益を得るビジネスで、これまでは手数料率が法律により定められていた。だがこの手数料は2009年に自由化されることが決定している。青果市場業界は厳しい競争に見舞われることが確実な状況にあるわけだ。
この動きをみて昨年、NECネクサは青果市場特別プロジェクトを立ち上げた。「ASP・SaaSに取り組んでいこうとするなかで、どのようなビジネスモデルがいいのか、アウトソーシング部隊を交え、企画、検討を始めた」(大庭昇・第二マーケット事業本部青果市場特別プロジェクトマネージャー)という。
これまではSIやパッケージがメーンだったが、SMB市場ではそれが通用しない。また、青果市場が伸び悩むなかで、コストをいかに抑え、しかも少ない顧客数で売り上げを確保するかを考えていった。ASPといえば従量制、定額制などの料金設定方式があるが、たどり着いたのが「業績連動型」だった。業績連動型を取り入れることは今後のビジネスモデルを考えるうえでのテストケースとしての意味合いも含まれている。
だが、業績連動といっても、「バランスシート、損益計算書や貸借対照表、いろんな基準があって、業績をどうとらえるかに苦心した」(大庭氏)。顧客の業界が右肩下がりの傾向だけに、売上高は使えなかった。また、季節や作物の収穫量などによっても売上高は変動してしまう。
結局、システムに計上される数字に着目することとなった。「前年同月比を基準にして、粗利益の増減で業績を算定していく」方法に落ち着いたのだ。粗利益が前年同月比で上回ったなら、基本料に加えて手数料を上乗せする。だが、逆に下がってしまった場合には料金から割り引くという仕組みだ。(鍋島蓉子●取材/文)
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