IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>44.三州製菓(下)
2008/04/21 20:45
週刊BCN 2008年04月21日vol.1232掲載
トレーサビリティの作業を分散化
高級米菓を販売する三州製菓(斉之平伸一社長)は、「安心・安全」のための品質管理を徹底している。長年使ってきた販売・生産管理システムが古くなったことから、新システムにリプレースし、さらに厳密な生産管理を行うためにトレーサビリティを導入することに決めた。業務の流れを分析し、必要なシステム要件を絞り込んだ結果、20年来同社と付き合いのある、日本オフィスメーションが開発を担当することに決定した。
三州製菓は従来から、内田洋行のERPパッケージ「スーパーカクテル」を導入している。システムを刷新するに当たり、日本オフィスメーションが三州製菓の事例をもとに開発した、食品製造業向け製品「スーパーカクテルFOODs(食品カクテル)」にトレーサビリティの機能をアドオンして導入することになった。
三州製菓から問われたのは「前のバージョンと新バージョンはどう違うのか。また食品業の課題をどうくみ取って、価値を提供できるのかを教えてほしいということだった」(日本オフィスメーションの高田敏雄・東日本事業部副事業部長)。そこで、ITコーディネータの町田行雄氏も交え、現場を見ながら要件定義をし直すことになった。
新しく導入したトレーサビリティシステムでは、出荷履歴から製造ロットを特定できるほか、製造ロットから原料・副資材を追跡できる。逆に原料・副資材の入庫ロットから生産した商品の製造ロットや取引先を割り出せる。また、原材料の誤投入を防止する機能も盛り込んだ。
原材料を生産ラインへ投入する際にハンディターミナルで貼付の2次元バーコードを読み取って確認する。その後、日時やラインの生産履歴情報をプラスした2次元バーコードを作成・貼付し、それをスキャンして出荷する流れだ。
トレーサビリティでは日常業務に加えて新たな作業が追加されるため、業務効率がどうしても落ちてしまう。日本オフィスメーションの高田副事業部長は「効率を落とさずに、トレーサビリティ作業を組み込むことが苦心した点」だという。同社が考えたのは「各フェーズの終了時に、作業を盛り込んで分散する」ことだった。トレーサビリティは協力会社ともシステム連携し、一元管理を実現している。レシピDB(構成マスタ)の登録を行う際は、「従業員が泊りがけで登録を行った」(三州製菓の斉之平伸一社長)という苦労話も。まずは品目を限定して管理をはじめ、2006年の春に本格的にシステムを稼働させた。
昨年には、原材料の賞味期限を管理する機能を新たにアドオンした。三州製菓では次の構想として「製品自体にバーコードを印刷し、携帯による消費者への情報提供を図りたい」(斉之平社長)考えだ。
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