IT Stock Frontline
1-3月のIPOは半減
2008/04/21 16:04
週刊BCN 2008年04月21日vol.1232掲載
投資家の目、一段と厳しく
今年1月から3月の間のIPO(株式新規公開)は21社。昨年の同期間の43社から半減した。米国のサブプライム問題を引き金にした世界的な金融市場混乱、国内景気の後退懸念を背景にした株式市場の変調がIPOを直撃している。当初期待していた資金調達が困難として、発表済みのIPOを2社が中止。また、上場した21社のうち11社の初値は公募価格を割り込み、うち9社は現在まで公募価格を一度も上回っていない。こうした状況から、幹事証券会社は今後のIPOに消極的になっているほか、個人投資家も敬遠姿勢を取らざるをえない。
2009年1月にスタートする株券電子化に向けて今年12月から約2か月間は新株発行など株数増減を伴う行為は禁止となり、事実上「IPO凍結」となる。これをにらんで今秋に駆け込み的なIPO増加が予想されるものの、それも株式市場回復という条件がつく。少なくともそれまでIPOはスローペースとなりそうだ。
投資家のIPOに対する目は一段と厳しくなっている。公開株数、ロックアップ(大株主の売却禁止)の有無などはもちろん、将来性を期待させる材料を持っているかどうかなどで選別する傾向が強まっている。
1-3月のIPO21社のなかで、公募価格に対する初値の上昇率ランキングは、ネットイヤーが3.1倍(3万2000円が10万円)とトップで、デジタルハーツ(2.3倍)、テックファーム(89%)が続く。昨年前半には5-6倍も珍しくなかっただけに、寂しい数字だ。初値からその後の高値までの上昇率では、非接触型ICカード技術関連のシステムを手掛けるテックファーム(15万1000円から21万円に)、携帯電話コンテンツ配信を手掛けるアクセルマークが上位に入り、IT関連企業の人気の高さがうかがわれる。(有賀勝久)
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