IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>37.イズミ(上)

2008/03/03 20:45

週刊BCN 2008年03月03日vol.1225掲載

基幹業務システムを全面刷新

 手すり専門メーカーのイズミ(泉周平社長、富山市)は、基幹業務システムを刷新する。販売管理システムを全面的に入れ替え、財務会計や顧客管理システムなども大幅に刷新する大型プロジェクトだ。5年前にシステムを入れ替えたが、顧客数の拡大で十分対応できなくなったため、刷新に踏み切った。ITコーディネータには、NPO法人ITコーディネータ富山の合田郁夫・理事(北陸コンピュータ・サービス・コンサルティング推進室長)がついた。


 1971年、金属加工会社としてスタートした同社は、蓄積したノウハウを生かして95年に手すり専門メーカーに業態を変えた。高齢化で手すりの需要拡大を見越した戦略は的中し、事業は右肩上がりで拡大。長年培った金属加工の技術は手すりの製造で威力を発揮する。


 顧客は工務店や介護ショップ、リフォーム会社、ハウスメーカーなど多岐にわたる。5年前には700-800社だった顧客数も、今では1500社余りに倍増した。一方、売り上げや品揃えが増えるにともない、在庫数も急増。在庫圧縮によるキャッシュフローの改善が大きな課題として浮上する。顧客数の増加に対応し、徹底した在庫管理やジャストインタイム(JIT)を実現する販売管理システムの再構築が事業拡大に欠かせないと判断した。


 システム刷新に当たっては、富山県や中小企業基盤整備機構などが出資し、地域の情報化を推進する富山県総合情報センターに指導を仰いだ。イズミは社員十数人規模の中小企業。情報システムの設計構築まで十分な人的リソースを割り当てられない。このため「日頃から総合情報センターでさまざまな情報や指導を得ている」(情報管理部の服部泰寛氏)と、IT化支援の仕組みを積極的に活用している。


 今回のプロジェクトでコンサルティングを依頼したITコーディネータの合田氏も総合情報センターで紹介してもらった。


 合田氏が最初にイズミを訪れたのは昨年6月。経営トップのビジョンをじっくり聞き込む過程でいくつかの課題がみえてきた。旧来の業務体制が事業の拡大に追いつかずに経営効率が低下。このまま新規顧客の開拓を進めると、いずれ「現行システムの限界に突き当たる」(合田氏)ことが明らかになった。


 また、イズミでは業務を標準化するためのマニュアルづくりを進めるなど効率化に力を入れるが、細部にわたって記述するあまり、作業も遅れ気味。全体最適の観点から見て得策ではなく、「まずはシステム全体を設計し直すことを優先すべきだ」(同)と提言した。


 ITコーディネータの助言でイズミのシステム刷新プロジェクトは本格的に動き出した。(安藤章司●取材/文)

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