次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>45.アイ・オー・データ機器(上)

2008/03/03 20:40

週刊BCN 2008年03月03日vol.1225掲載

自社活用のWebサービスを販売

 アイ・オー・データ機器(細野昭雄社長)は、今年2月、企業向けASPサービス「アイオーWebパイロット」をリリースした。もともと自社商品のPRに利用していた動画サイト「なるほどショッピング」の動画ソフトをASPで提供するというものだ。同サービスはHP編集ツール、ブログ作成ツール、動画配信サービスの3つで構成される。細野社長のアイデアからスタートした新規事業だ。

 同社は昨年8月から、自社の直販サイト「アイオープラザ」上で自社商品をPRする番組「アイオープラザ『なるほどショッピング』」を開始した。動画で紹介するものである。

 このサイトが誕生したのは、同じ年の4月に「動画を使った商品PRはどうか」と細野社長がアイデアを出したことがきっかけとなった。開発の現場では「動画といわれても、ぴんとこなかった」(前野孝俊・CS部e-コマース課課長)そうだ。だが当時、アフィリエイト仲介業者のリンクシェア・ジャパンが主催するECサイトやアフィリエイトサイトを表彰対象とする「LinkShare Award(リンクシェア・アワード)」では、動画を利用したテレビショッピングサイトの受賞が目立っていた。

 動画が消費者に受けていることを知った前野課長は、自社で動画配信のシステムを持とうと考えてシステム開発会社に相談したところ、「少なくとも1000万円はかかる」ことが判明。高額な費用を提示されて、「途方に暮れた」と当時の様子を語る。

 だが、動画配信やHP作成ソフトのASPサービスを手がける石川県の地場ベンチャー「サイバーステーション」の福永泰男社長と細野社長が知人であったことが幸運をもたらした。サイバー社のASPサービス「サイバーモーション」を利用することで、投資を大幅に抑えることができたのだ。準備が整い、いざ動画配信を開始したところ、回線がパンクするほどの盛況を博した。動画を使うことにより、説明しづらかった周辺機器の機能を明確に伝えられるようになり、売り上げは順調に伸びた。

 同社は「ハード売り」を本業としてきた。だが、いうまでもなくハードはソフトがないと動かない。細野社長の胸の内には「ウェブにつないで何か新しいビジネスを探りたい」という思いがあったようだ。直販サイトでの動画配信開始から2か月が経過した11月下旬、同社自身のASP事業を立ち上げるという期限付きのプロジェクトが動き出した。(鍋島蓉子●取材/文)
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