次世代Key Projectの曙光
<次世代Key Projectの曙光>44.日立システムアンドサービス(下)
2008/02/25 20:40
週刊BCN 2008年02月25日vol.1224掲載
検証+コンサルでニーズに対応
日立システムアンドサービス(中村博行社長)は昨年から、ソフトウェア品質管理サービス「QualityPro(クオリティプロ)」を提供している。 同社は以前から品質を重要視していて、QCD(品質・コスト・納期)を独立した部署が管理している。2000年になって、他社から検証依頼が入り始め、07年2月に同サービスを事業化した。
クオリティプロは日立システム内で培ったノウハウを元に、ソフトウェアの品質向上支援を行うサービス。第三者検証サービスを提供するベンダーは何社かあるが、「第三者検証だけでなく、品質改善のためのコンサルティングサービスを提供している」のが特徴だ。
コンサルティングにより、開発全体における品質管理の仕組みづくりを行う。その後、レビューやテストのコツ・品質分析のノウハウをまとめた実践マニュアルを作成し開発現場を教育することで仕組みを定着化させる。定着化させた後は、品質を「見える化」するため、第三者によるチェックリストを使った上流工程の監査「プロセスQA」を行う。また、ソフト開発時には静的に致命的な不良を発見し、解析できるソースプログラムの検証サービス「InspectPro(インスペクトプロ)」やテスト工程で発生した不良をデータベースに登録し、分析できるツールの提供などもしている。プロセスQAなどで問題点を洗い出すことで、さらなる品質改善につなげていくことができる。
同サービスは現在、組み込みソフトを手がける開発会社を中心に提供している。組み込みソフトの需要が爆発的に伸びている。ソフトに不良が見つかれば、機器すべてを回収しなければならず、その対策費用も増加傾向にある。こうした対策費用の増加は「品質の低下というよりは、短い納期に追われて引き起こしたミスによるケースも大きいのではないか」と孫福和彦・デジタルメディアソリューション本部品質管理サービス担当部長はみる。
クオリティプロは「確実にPDCAを回すもので、取り組み自体はいたってオーソドックス」(同氏)。だが、実際には品質の向上に愚直に取り組むことができなくなっている状況だからこそニーズが高まっているサービスでもある。今後は金融などの業務ソフトにも提供を広げていくほか、「今はプロセスQAやバグをデータベースで管理するツールを提供しているが、新たにノウハウを共有できるツールをメニューに加えたい」(孫福氏)としている。(鍋島蓉子●取材/文)
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