視点

「テレワーカー」が新しいIT需要生む

2008/02/18 16:41

週刊BCN 2008年02月18日vol.1223掲載

 ITの進展と普及に伴って、本来のオフィスと離れて仕事をする「テレワーカー(在宅勤務者)」が増えている。ここでいう「テレワーカー」は、従来のカスタマーサポートなど委託・派遣形式の業務とは異なり、一般社員が自宅で勤務したり、企業が設けた「サテライトオフィス」などでモバイル端末を使い仕事をする人たちを指す。政府の目標では、現在10%程度の比率を2010年までに官民で20%程度までに増やすことを掲げているが、ここに次なるIT需要を見い出そうとするITベンダーは少なくない。

 実際に大手電機メーカーや、特にITベンダーでは、ソフトウェア開発者や営業担当者など、オフィス以外で業務が成り立つ人員を中心に「テレワーカー」が増え続けている。従業員を効率よく活用するニーズは、限られた人員で業務をこなす中堅・中小企業ほど高く、ここに向けてITを利用した最適な環境を提供する需要は確実に生まれるはずだ。

 通勤時間を省いて仕事を効率化することや、オフィススペースなどを考えあわせると、どうしてもオフィスで仕事をしなければならないという社員は意外と少ないはずだ。東京圏では、往復3時間をかけて通勤する人は珍しくない。このうち2時間を「テレワーク」して、残りは育児や趣味などに時間を当てたほうが、肉体的にも精神衛生上でも健全といえよう。

 とはいえ、自宅で勤務する以上、オフィスにいる状態と同様のストレスのないIT環境の整備などが求められる。

 例えば、「テレワーク」で使用するPCを会社が貸与しない場合、個人のPCでオフィスと同じローカル環境を使わせることになるが、ID・パスワードや閲覧権限の管理など、利用ポリシーなどを含め、さまざまな設定や歯止めが要る。資料を印刷する際には、PCとプリンタをつなぐ部分に何かしらセキュリティを施すことになる。制限なしに印刷を許せば、情報漏えいが起きるからだ。

 この先、高速無線回線の「WiMAX」が普及すれば、無線環境でPCや携帯電話を利用して社外で仕事をする機会は増える。そうした環境をセキュアにし、社員が負担なく安全に使える環境を整備する必要性は高まる一方だ。これまで述べた問題を解決するうえで必要となりそうなITツールは、すでに出回っている。これらを上手く組み合わせて提供することで、新たな需要を獲得できるだろうし、早期に立ち上げれば、ビジネスチャンスをつかめる可能性は大いにある。
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