IT Stock Frontline
業績悪化に警戒感
2008/02/18 16:04
週刊BCN 2008年02月18日vol.1223掲載
通期見通しの下方修正相次ぐ
昨年末からの株価下落は企業収益の悪化懸念が要因の一つ。円高、米国を中心とした海外の景気後退で輸出が打撃を受けるほか、国内景気にも悪化見通しが増えている。2月上旬にかけて発表された企業の10-12月期決算ではそうした懸念がより強いものとなった。例えばソニー。2008年3月期の営業利益の見通しを4500億円から4100億円へと引き下げた。1円の円高は約60億円の利益目減りになるといい、為替の前提条件見直しが修正の要因。薄型テレビなど同社のエレクトロニクス事業の30%近くを占める米国の売り上げはドルベースでは10-12月期は12%増と好調ながら、景気後退による今後の個人消費の悪化が懸念される。ソニーは中期計画で掲げた売上高経常利益率5%の達成が難しくなったことから株価は急落した。
逆に決算発表を受けて株価が上昇したのが松下電器産業。薄型テレビやデジカメの拡大で10-12月期の営業利益は1653億円(前年同期比22%増)と好調。海外環境が不透明とあって通期見通しは据え置いたが、計画に対する12月までの進捗率は81%と高い。「通期予想は目標の最低ライン」(同社)という強気の姿勢が株価に反映された格好だ。
投資家の企業業績に対する警戒感を示したのがヤマダ電機の株価。4-12月期の経常利益は22%増と順調で通期見通しも据え置いたが、「弱い国内消費から1-3月期に業績は下振れする可能性もある」として株価は急落。昨年12月の高値1万3710円からは30%近い下落になっている。
ネット関連では昨年ジャスダックのNEO市場に上場して注目されたユビキタスが急落。発表した4-12月期決算は想定通りだったが、「予想よりいい数字」を期待して先回り買いしていた向きの売りが殺到したようだ。(有賀勝久)
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