視点

「BCN AWARD 2008」藪睨み

2008/02/04 16:41

週刊BCN 2008年02月04日vol.1221掲載

 1月25日、「BCN AWARD 2008」に参加(ひやかし?)した。

 この催しは、式の締めくくりに挨拶された方の「楽しい」という発言に尽きる。毎年、ファッションに凝る受賞社の社長がおられて、今年は赤いジャケットだったが、来年はどんな装いになるかが楽しみだとの発言が会場の笑いを誘った。

 もちろん関係者全員を厭きさせないところは、例年のとおりだ。競合他社の動きや業界の動向を肌で感じられるのは、生業としても貴重な情報収集の機会であるからだ。

 オールドボーイからみると、パソコン発祥の頃のコムデックスより熱気があるようだ。

 このAWARDの広がりのひとつが、「BCN大賞」の創設である。商品の中身や質、バタ臭く言えばコンテンツに着目した企画が、来年10周年から始まる。また、横の広がりは、「BCN ITジュニア賞」によって若い世代を取り込んだところに如実に現れている。工業高校や高専の若い世代の作品展示もよい。

 横の広がりでひとつ思いつくのは、学生の卒論などに江戸文化にかかわるテーマが増えていることである。風流経済学の日下公人さんなら、「エドナイゼーション」という。ジュニア賞のコンテンツの方向性に関係するテーマである。

 江戸東京博物館による「江戸文化歴史検定試験」も盛況裡に第2回を終えた。 ちなみに、その2級の問題例:

〈商品などを買う気もなく、見るだけの客を「ひやかし」といいます。この言葉の由来は、あるものをつくる職人が、工程の合間をぬって吉原をぶらぶらしたことにあります。では、その職人がつくっていたものは、次のどれでしょう?

 (1)今戸焼 (2)佃煮 (3)浅草紙 (4)浅草海苔

 答えは (3)浅草紙

 紙が大量に生産され消費されるようになった江戸時代、何度も漉き返して使える和紙の特性をいかして製造された浅草紙は、江戸の特産物となっていました。ただし、新吉原を見て歩くだけの迷惑な客は、浅草紙の紙漉職人に限ったことではなかったようです〉

 江戸文化以外のコンテンツでは、「鳥獣戯画」に遡る「ドラえもん」や「ポケモン」がある。ゲーム絡みでは、「お茶汲み人形」に遡る「DS」や「Wii」が、最先端を切っている。ITジュニア世代が今後日本人の文化伝統をどう取り込むか興味津々だ。かれらの健闘を祈りたい。
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