IT Stock Frontline

回復なるか新興市場

2008/02/04 16:04

週刊BCN 2008年02月04日vol.1221掲載

ライブドア・ショックから2年

 株式市場の波乱が続くなか、新興市場の下落が目立っている。新興市場崩落が始まった2006年1月の「ライブドアショック」から2年が経過。株価指数を当時と比べると、東証1部企業を対象とした日経平均株価の下落が約15%なのに対して、ジャスダック市場は45%下落。東証マザーズ、大証ヘラクレスに至っては4分の1になっている。

 新興市場の人気をけん引してきたネット関連株などには業績が計画に届かない企業が相次ぎ、投資家の不信感が増したのが株価下落の要因。また、新興株投資の魅力の一つであるIPO(株式新規公開)についても、07年は121社と06年の188社から大きく減少。市場全体が下落した8-9月には初値が公募価格を割り込む銘柄が続出(年間では29社)、投資家の資金流入が細ってしまった。

 昨年末からは世界的株安の直撃を受けるとともに、国内景気後退の懸念を織り込む動きになっている。

 そんな新興市場だが、厳しい株価下落の裏返しで投資魅力も増している。1株利益に対して株価が何倍まで買われているかを示すPER(株価収益率)はジャスダック市場の平均で17倍割れまで低下。これは個人投資家の資金流入から株価が反転した02年とほぼ同じ水準だ。また、配当利回りの平均は2%超(国債利回りは1.4%)に上昇している。株価の割安さに着目した資金が流入するタイミングは近づいている。

 ネット関連株ではミクシィ、フルスピード、ユビキタスなど「ライブドアショック」を知らない世代の存在感が高まっており、反騰となればこれらが先導役か。

 ほぼ1か月中断していたIPOは2月1日のデジタルハーツから再開。公募価格が低い水準で決まっているため、上場後の人気化が読める銘柄が多い。これも投資家の関心を新興市場に向けさせることになりそうだ。(有賀勝久)
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