IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>31.アオヤマ(上)
2008/01/21 20:45
週刊BCN 2008年01月21日vol.1219掲載
情報システム改善で業務効率化
香川県高松市にある和惣菜卸製造のアオヤマは、ITコーディネータのコンサルティングによってITシステムを導入し、業務効率化を果たしている。同社が進める情報システムの強化は、現時点で顧客から受け取った受注データなどを即座にデータベース化できるほか、クライアント端末による必要な情報のリアルタイム収集、受注や材料分解、製造指示、振り分け指示などの自動化、売り上げ情報分析など顧客管理から請求書発行や請求データ送信などだ。
12台のパソコンを導入し、管理スタッフによる業務に関する情報すべての電子化を実現。顧客から頻繁に要求される受注形態の変更を容易にすることにも対応している。
青山重俊代表取締役は、「業務効率化の大幅な改善により、良い製品を手軽な価格で提供することにつながった」と評価している。
このシステムを構築したのは、香川県を中心に四国地域で中小企業のIT化支援に力を注ぐITコーディネータの長尾和彦・エイド代表取締役。エイドは、経営コンサルティングからコンピュータシステムの構築までを手がけるSIerだ。長尾代表取締役は、「アオヤマの情報システムを構築するにあたり、最も気にしたのが時宜にかなった方法でシステムを変化させることだった」と振り返る。
というのも、長尾氏が初めてアオヤマに訪れた当時、社内には情報システムに関する知識を持つ人材がいなかったからだ。しかも、当時のシステムはパソコン2台のみで、EOS(電子発注システム)受信や伝票印刷、市販の販売管理ソフトの使用、エクセルでの管理などで業務効率化は十分とはいえなかった。ネットワークに接続されていないため、手作業の部分も多い。顧客から受注方法の追加依頼変更があると高額のシステム変更費用を要するという有り様だった。
青山代表取締役と長尾氏が出会ったのは今から約6年前に遡る。「取引先が増えるたびにEOS機能を追加しなければならない。何とか安く機能アップできないか」と、青山代表取締役が長尾氏に相談を持ちかけたのが発端だ。
しかし、当時の青山代表取締役はITに全く関心がなく、しかも情報システムの改善理由が分からない。さらに、「(長尾氏の)第一印象は“最も嫌いな人物”。全く正反対のタイプだったから」(青山代表取締役)という。
そのため、長尾氏は「システムにデータが蓄積されれば経営に欠かせない情報が抽出できる。人材の成熟度を上げながら、機能が進化するシステム構築を訴えた」。
そこからアオヤマの本格的な取り組みが始まった。(佐相彰彦●取材/文)
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