視点
美人コンテスト方式の限界
2008/01/14 16:41
週刊BCN 2008年01月14日vol.1218掲載
何を比較したかというと各グループの財務基盤、技術力、事業化速度など11項目。過半の項目で差はつかなかったが、事業展開の速度など数項目で差がついたそうだ。
ホントの美人コンテストでも、出場者はみな美人に見え、だれがミスに選ばれるのか予想がつかない。たった1人がミスの栄誉を獲得する。もちろん見た目だけで選んでいるわけではない。
コンテストに出場する女性はいずれも容姿に自信があるに違いない。選に洩れた女性はさぞ悔しかろう。「なぜ私ではないの?理由を聞かせて」。テレビ中継を見ているこちら側もそう感じている。
今回割り当てに洩れたソフトバンクグループは「納得できない」との談話を発表している。「なぜ私じゃないの?」というわけだ。審査結果を不服として今後行政訴訟を起こすかもしれない。
発表前から一部メディアに選考結果が報道されたため、選考過程の透明化を求める要望書も提出した。初めから結論ありき、ではなかったのか。そう疑われても仕方がない。
ではどういう選考方法がいいのか。欧米のように入札制度にすればいいのか。欧米では競争で落札価格が高くなり過ぎ、その後の経営に大きな障害となったことから、日本では入札方式の支持者が少ない。当面、透明度の高い比較審査しか方法がないのも事実である。
かつてNTTの独占だった長距離通信に3社が新規参入した時、比較審査方式でどこが成長性が高いかを個人的に占ったことがある。長距離通信需要の多い東名阪にだけ参入し、無駄な投資が少ないという理由で、日本高速通信が最も合理的な新規参入と考えられた。しかし、同社はいち早く経営が行き詰まった。比較審査で最も点数の低かったDDIが生き残り、現在のKDDIになった。
この比較審査では経営力という目に見えない力、つまり経営者の資質、社員のやる気などを比較できなかった。経営実態がまだない段階で経営力を指数化することはそもそも無理がある。美人コンテスト方式には自ずから限界があるのである。
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