次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>36.内田洋行(下)

2007/12/17 20:40

週刊BCN 2007年12月17日vol.1216掲載

「関係性」のデザイン模索

 内田洋行(向井眞一社長)は、ユビキタス社会の新しいワークスタイルやライフスタイルを支援する「場」の力を最大限に引き出す提案「ユビキタス・プレイス」を推進している。中核を担った「次世代ソリューション開発センター」と「テクニカルデザインセンター」は共同で、外部研究者やデザイナーとのコミュニティを支える実験の場「協創工房」を作り試行錯誤を繰り返した。

 建築・内装工事なしで可変性の高い空間を構築できるシステムユニット「スマートインフィル」と、情報コミュニケーションを支えるソフトウェア群「スマートウェア」により、「場」の成長に合わせ空間を組み替え、誰もがIT装備を使いこなせる情報空間を作り出せる。この「スマートインフィル」の前身となった情報空間ユニット「スマートパオ」も、協創工房での産学連携開発から生み出された。これからの情報活用空間に対する斬新なコンセプトや、使い勝手の良さが評判になり、大学や企業などに口コミで35セットが売れた。

 「スマートインフィル」で構築された空間では照明、センサー類、プロジェクタなどの情報機器が動いている。ワイヤレス環境により、PC上から誰でも簡単に情報操作できる環境を実現したのが「スマートウェア」だ。空間内に設置されたプロジェクタやモニター類を一元管理し、マルチスクリーン環境を簡単に活用できる「パーフェクトプロジェクションアダプター(PPA)」や、照明制御やAV機器制御、電源などを一元的にコントロールできるアクティブワークキット(AWK)もそのひとつだ。これらは、空間においてITをいかに使いやすくするか、という視点から開発されている。

 村浩二・次世代ソリューション開発センター長は、「空間での人の振る舞いや身体性に合わせたインターフェースを充実化させていきたい」と将来を展望する。

 ユビキタスは、さまざまな「花びら」が集まり、産業を形成する花弁産業といわれるが、内田洋行にも「『リレーションをデザインする』という理念がある。今後も顧客やパートナーと協創を重ねながら、『場』を形成するヒト、モノ、機器、コンテンツ等、様々な『関係性』のデザインを模索していく」としている。(鍋島蓉子●取材/文)
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