次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>30.日本システムディベロップメント(下)

2007/11/05 20:40

週刊BCN 2007年11月05日vol.1210掲載

総合IRサービスの事業確立

 日本システムディベロップメント(NSD、冲中一郎社長)はインターネットを活用し、「ポイント」と使って好きな商品と交換する株主優待サービス「グッぴー」を提供している。外国人株主の株式保有比率が37%に達し安定株主が減少したことを懸念した同社が、個人株主に長期保有を促す目的で開始した。「グッぴー」の提供が奏功し、個人株主の割合が高まったことから、実績をもとにシステムの外販に向けて、今年8月にシェアホルダーズリレーションサービス(今城義和社長)を立ち上げた。

 「グッぴー」はシステムの運用を自社で行い、商品提供など物流部分を通販大手の千趣会に委託している。約100アイテムの商品を揃える。通年もののカタログとは異なり、インターネットでは、季節によって旬のものを提供できる。また、アンケートを実施するなど、株主とのコミュニケーションを図り、株主の生の声を汲み取ることができるのが大きな特徴だ。

 実際にサービスを提供してみると、新たな課題も浮上した。「インターネットが使えない株主が含まれていることが分かった」(小松昭隆取締役 営業部長)。そのため、現在はインターネットでの優待カタログを送付するかを最初に選んでもらっているという。「カタログだと運送代がかかる。いかにコストを抑えていくかは課題の一つ」(同氏)でもある。

 株主とのやり取りでは、交換した食品が「おいしくない」と不評だったり、「ポイントは足りないが、どうしてもほしい商品がある」という切実な願い、なかにはパソコンの使い方を尋ねられるなど、思いも寄らない問い合わせがあったりする。ノウハウがなく、苦労した部分もあるが、「ありがとう」と感謝の電話をもらうこともあり、「手探り状態だが、運営するのは楽しい」(同氏)そうだ。

 同社は、NSD本体で株主数を増やすのに効果をあげた「グッぴー」を、今度は外販することで、総合IRの企業として、事業を確立していこうとしている。グッぴーは現在、10社ほど受注に結びついている。3年後には受注件数を70社にまで拡大させようと考えている。

 「今は10人で会社を運営していて、グッぴーの拡販に力を注いでいる」(今城社長)

 今後は、「インターネット総会や、09年1月を目標に進んでいる株券の電子化に備えたサービスの提供を模索している」(同氏)。事業のアイデアは広がりをみせている。(鍋島蓉子●取材/文)
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