IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>23.ITC Conference 2007編(上)
2007/10/29 16:18
週刊BCN 2007年10月29日vol.1209掲載
SaaS/ASPがITC活動を後押し
今号と次号では、10月19-20日の両日に東京の大田区産業プラザで、「経営とITの融合による経営革新~ITコーディネータは企業をどう変えたか~」と題して開催された「ITC Conference 2007」(ITコーディネータ協会主催)の模様をリポートする。同協会や経済産業省、ITコーディネータ(ITC)の利用を積極化するITベンダー、ITCを活用し経営革新に成功した事例などが発表された。参加者は、独立系やITベンダー内のITCらで、過去最大の約800人に達した。第6回となる今回のイベントではSaaS(Software as a Service)/ASPに関する見解を述べる登壇者が目立った。SaaS/ASPは、ITコーディネータ協会の関隆明会長が「中小企業のIT利活用に革命的変化をもたらす」と主張する新しいうねりだ。セールスフォース・ドットコムや各登壇者から具体的な展開の解説があり、改めて、低コスト・短期間で導入できるSaaS/ASPに対する注目度が高まっていることが分かった。
初日の冒頭に登壇した関会長によれば、ITC有資格者は約7600人、同協会登録団体が約160団体になり、年々増え続けているという。そのうえで、「昨年11月から『IT経営キャラバン隊』で全国を巡回し、団体、経済産業省、金融機関などの機関との連携が深まった」(関会長)と、今年度の成果を述べ、「ITCのビジネスチャンスを広げる活動が活発化している。『守り』から『攻め』に転じる時だ」と、積極的な展開を呼びかけた。
カンファレンスのなかで、具体名で登場した金融機関とITCが連携した事例が紹介された。中小企業金融公庫の名古屋支店は、長期・固定金利を特徴とする「IT活用促進資金」という特別貸付を設定している。IT関連イベントや経営者研修会を開催し、中小企業とITCをマッチングさせる機会を設けることで、支店内の総融資額に占めるIT貸付の割合が全国平均より高い数値を示した。中小企業は、経営革新をするうえでITに興味があるものの、具体的な行動に移せずにいる。それを、IT経営の立場でITCが支援し、費用対効果まで責任をもつことで、金融機関側も融資をしやすくなった。金融機関とITCの連携は四国銀行などにも広がっているという。
また、ITの技術的な面では、システム投資に余裕がなく、短期間で低コストのシステムを望む中小企業向けに適した仕組みとしてSaaS/ASPが普及する兆しをみせている。関会長は「個別開発の必要がなく、費用負担を軽減できる。利用者側からITベンダーに対し、システムに対する要求を深められる」と、SaaS/ASPがIT普及率が低いといわれる国内中小企業のIT利活用を高めることになると強調した。(谷畑良胤●取材/文)
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