IT Stock Frontline
ビックとベストの提携が話題
2007/10/08 16:04
週刊BCN 2007年10月08日vol.1206掲載
ヤマダ電機との争奪戦で株価上昇
株式市場に話題を提供したのが家電量販店のビックカメラとベスト電器の資本・業務提携。ビックカメラはベスト電器の第三者割当増資を引き受け、9%強の株式を保有する筆頭株主になる。この提携は家電量販店の“王者”であるヤマダ電機への包囲網ともいえる。ヤマダはかねてからベスト株を保有して提携を迫っており、今回のビックとの提携はベストがヤマダに対する明確な拒否の姿勢を示したことになる。
そうしたなか、ヤマダのベスト買い増し(9月14日で発行済み株式の7.71%)が明らかになるとともに、ヤマダの山田昇社長は保有比率20%をメドにベスト株を買い増す意向を示したという。ビックとヤマダによる「争奪戦」の様相を呈したことから、ベスト株は急騰。一気に本年の高値に上昇した。
ビックは、業界2位のエディオン(デオデオ、エイデン、ミドリ電化の持ち株会社)とも提携しており、3社合計の売上高は1兆6000億円。規模だけをみるとヤマダ(1兆4400億円)は追い抜かれてしまうことになり、これにヤマダが危機感を抱いたとの見方もできる。
もっとも、ヤマダは都内で展開するキムラヤセレクトの子会社化を発表するなど、M&Aを駆使した規模拡大を着実に進めている。収益力やメーカーへの価格提案力などはヤマダが群を抜いており、それは株式の時価総額を見ても明らか。首位・ヤマダの時価総額1兆円に対してビックは900億円、ベストは700億円でしかない。エディオンは1300億円弱。ケーズホールディングスは今年4月にデンコードーを連結子会社化したが、1200億円規模にとどまる。
株式市場では、「家電量販店は消耗戦が続いている。収益力が高まるのなら再編は歓迎」という声が聞かれる。(有賀勝久)
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