次世代Key Projectの曙光
<次世代Key Projectの曙光>25.リアライズ(上)
2007/10/01 20:40
週刊BCN 2007年10月01日vol.1205掲載
データ管理の煩わしさ解消
NTTデータの社内ベンチャープロジェクトが前身となって2001年に設立されたリアライズ(大西浩史社長)は、IT機器や市販ソフトウェアなどの電子カタログ情報提供サービス「TOP PAGE」をはじめ、業務で発生するデータに焦点をあてたマスタデータの運用アウトソーシングやデータクレンジング、クレンジングしたデータを活用したコンサルティングなどデータマネジメントを提供している。大西社長は、NTTデータに入社後、購買部に所属していた。業務が多岐にわたるため多忙を極め、特に購買データの登録には苦心していた。登録済みデータのフォーマットが不統一なうえ誤字脱字が目立ち、「なんとかしたい」と、データ整備の必要性を感じていた。だが、システムに情報を正確に入力し、整理し管理していくのは、片手間ではできなかった。そこで、NTTデータに入社してわずか2年半ながら、コーポレートベンチャー制度に応募、独自企画が承認された。
「独立願望が特に強かったわけではなかった」と振り返る。ただ、周りをみると「やりたいことがあるから会社を辞めて独立する人が、IT業界にはたくさんいる」(大西社長)。そんな光景をみて「サラリーマンではない生き方もある。自分にもできるのではないか」と想像したこともあった。
社内ベンチャーとして「自由にやっていい」と4000万円を支給されたが、悪戦苦闘を強いられたという。「はじめの頃は週2日は会社に泊まりこんでいた」そうだ。
もともと購買部に所属していたため、見積もりなども作ったことがなかったが、周囲に聞くなどして、独学で仕事を学んだ。コーポレートベンチャーのデメリットは親の会計処理など、親のルールに従わなければならないことだったという。半面、「親の七光り」は武器になる。特にリアライズのように顧客から機密データを扱う会社にとっては、NTTデータという後ろ盾によって顧客から信頼を得ることができたのは大きい。
01年には社内ベンチャーから脱皮、会社設立のため資本金を集めて回ったが、折りしもITバブルがはじけ、断られることも多かった。だが、そんななかでも株主のうちの一社でもある大日本印刷は、紙の事業は飽和状態のため、電子カタログで何かできないかと出資に応じてくれた。01年10月、リアライズを設立、新たな事業がスタートした。(鍋島蓉子●取材/文)
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