IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>18.アンスコ編(下)
2007/09/24 20:45
週刊BCN 2007年09月24日vol.1204掲載
幹部研修通じ円滑にIT導入
アンスコはITを活用した経営革新を実行に移す前に、まずは時代にそぐわない古い企業風土を改める研修を2006年11月から始めた。ITコーディネータの協力を得て実施した「経営幹部マネジメント研修」では、「なぜ今、改革が必要なのか」「2010年、業界トップ企業に成長するためには、まず何をやらなければならないのか」などを明確にイメージできる内容に仕立てた。土曜日に役員・幹部社員を集めて計5回行った研修では、マネジメントの基礎知識から始まり、ビジネス環境や自社の強み、弱みを検証するSWOT(スオット)分析、経営改革の計画立案まで一通りのことを学んだ。同社は国際競争力の高い高精度の特殊なネジの製造をメインとしており、技術面、市場性からも成長余地が大きい。しかし、商品点数は1万点にものぼり、ITの力を活用しなければ管理しきれないことも改めて分かった。
IT化の前に、「なぜIT化を行うのかを理解することが大切」(山田和久・ITコーディネータ)という。そうでなければ、せっかく導入したIT機器も十分に使われないまま埃をかぶってしまう危険性があるからだ。アンスコの安藤秀文社長は、「研修を通じて、社員の意識は目に見えて変わってきた」と、驚きの表情を浮かべながら話す。ようやくITのことを具体的に考える環境が整ってきた。
過去20年間使ってきた古いオフコンの生産・販売管理システムのリースが、来年2月に切れるのを前に、次期システムの選定作業を開始した。
ITコーディネータによる「経営幹部マネジメント研修」を受けた役員、幹部社員などを中心として10人程度の選考チームを結成し、計2回の選考を通じてシステムを選定する方式を採用。事前の業務分析で、ほとんどの業務が既存のパッケージソフトで対応できることが分かっていたため、パッケージを持っているベンダー5-6社を選考対象とした。
一次選考で感じたことは、「機能や価格で優劣をつけるのは困難」(安藤社長)であることだ。選考対象ベンダーのパッケージソフトはいずれも完成度が高く、必要であればカスタマイズにも対応してくれる。
このため二次選考では将来にわたってITパートナーとして頼りになるか否かを重点ポイントに位置づけた結果、SIerのオービックに軍配があがった。アンスコの工場に何度も足を運び、現場の要望を「他のベンダーより多く聞き取って、提案書に盛り込んだ」点を評価した。
現在はカスタマイズ部分の詳細設計に入った段階で、来年2月の本格稼働に向けた準備が着々と進んでいる。ユーザーとITコーディネータ、ベンダーの二人三脚で、目指すべき経営目標の実現に取り組んでいく方針だ。(安藤章司●取材/文)
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