次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>20.日立情報システムズ(下)

2007/08/27 20:40

週刊BCN 2007年08月27日vol.1200掲載

外部の協力得て量産化

日立情報システムズ(原巖社長)は2003年から「Chipin/Innovation(チップイン/イノベーション)」というRFIDシステムのソリューションを展開している。一人の営業担当者が強度が強く、屋外などの苛酷な環境でも耐えられるRFIDにニーズがあると着目。そこから金属製タグの開発をはじめ、06年6月から、「メタルタグソリューションChipin/Metal(チップイン/メタル)」の提供を開始した。

 05年から開発を始めてほどなく、金属製タグを発案した営業担当者を含めた3人で月に1、2回は青森に通い、グループ会社のルネサスハイコンポーネンツで量産化を模索してきた。量産化しやすい形にするため、金型の試作を繰り返したが、ルネサスハイコンポーネンツでは、本来の仕事を抱えており、「道具や人的な面で献身的な協力を得た」(山方茂・ビジネスソリューション本部RFID事業推進部部長)という。

 ICタグのアンテナ部分に使う金属はアルミや真鍮など何種類かを試したが劣化や錆びる心配がないうえに、食品や薬品などに使われている容器と同じ素材ということで、最終的にステンレス(SUS304)に決めた。「別の素材では扱いづらいため、ユーザーが扱いなれている金属を選んだ」という。内部のICタグには、日立の世界最小レベルのサイズながら、強度も高いミューチップを使用した。

 06年10月に出荷開始。製造や建設、エネルギー、食品の業界などで、保守・点検用途での活用が見込まれ、現在は30社に導入されている。3年で20億円の売り上げを目指す。

 また、今年5月には、経済産業省が「響プロジェクト」で日立製作所に発注し、国際標準規格と相互接続性を持った低価格のUHF帯RFIDとして開発された、「ミューチップ Hibiki(ヒビキ)」を加工した金属製タグを今秋に出荷する。商品在庫管理や、入出庫管理の用途で同製品を展開し、3年後には25億円の売り上げを予定している。

 チップイン/イノベーションでは、利用シーンに合わせて、アプリケーションパッケージを展開しているが、今後も、「アプリケーション別にパッケージ化を進めることで、コストダウンを図っていきたい」としている。

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