IT Stock Frontline
ソフトバンク株が堅調
2007/08/27 16:04
週刊BCN 2007年08月27日vol.1200掲載
基地局増設で携帯加入者増やす
米国株急落を背景にした波乱が続く東京市場。日経平均株価は昨年11月以来の1万6000円割れの水準に下落している。企業収益は好調だが、日経平均株価採用銘柄ベースのPER(株価収益率)が18倍割れまで低下するなど、株価の割安さを示す指標が目立ち始めている。今回の株価下落は米国のサブプライムローン(低所得者層向け住宅ローン)の焦げ付きがきっかけ。それによる米国経済の先行き不透明感、ヘッジファンドの運用成績悪化で、世界的な資金の流れに変化が出ており、東京市場もそうした嵐が収まるのを待つ場面とみられる。
そうしたなかで、ソフトバンクの株価堅調が注目された。「携帯電話契約純増数3か月連続首位」、4-6月期の好決算発表という好材料が株価に刺激を与えたようだ。
ソフトバンクの2007年4-6月期の連結営業利益は前年同期比45%増。前期は携帯電話事業の貢献が5、6月の2か月にとどまったことを勘案しても「実質3割弱の増益」(孫正義社長)となる。最近の契約純増数急増の主因には、積極的な基地局増設があげられる。昨春のボーダフォン買収時点の2万局弱から今年8月1日現在で4万6000局を突破。孫社長は決算説明会で「KDDIが十数年かけて設置してきた以上の局数を1年余りで増設した」と胸を張る。「ソフトバンク携帯はつながりにくい」との定説を覆し、昨秋のシステム障害に伴うイメージダウンも大方払拭してきた。また、ADSL事業の後継となる光ファイバー通信についても「ソフトバンクらしい新サービスについて準備の最終段階にある」(孫社長)といい、華々しい発表が行われそうだ。
個人投資家の間での人気が高いソフトバンクの株価の行方が株式市場全体のムードを象徴するものとして注目される。(有賀勝久)
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