次世代Key Projectの曙光
<次世代Key Projectの曙光>18.GMOインターネット(下)
2007/08/06 20:40
週刊BCN 2007年08月06日vol.1198掲載
ネット証券最大手を抜く意気込み
GMOインターネットは、従来とは違う、新しい金融サービスを提供すべく、プロジェクトの一環としてGMOインターネット証券を設立、2006年4月からサービスを開始した。OSS(オープンソースソフトウェア)を活用し、自社で1から証券システムを構築したことで開発費を抑え、ユーザーの取引手数料も安価にすることを可能にしたほか、金融系のウェブサイトが最新技術に比較的疎いなかで、Ajaxなどウェブ2.0の技術を積極的に活用し、利便性の向上を図っている。同社では、取引手数料の安さと、Ajaxなど最新技術の活用を強みとしている。さらに、ウェブサービスAPIを公開していることで、ユーザーが自由に取引ツールを作ることができるのも特徴の一つだ。「米国では複数社がサービスAPIを提供し、経由で受発注が行われていて、サービスAPIの公開は一般的になってきている」。
APIを利用すれば、個人が自分で使いやすい自動売買の仕組みを作ることができる。「APIを利用してツールを開発するユーザーは取引が好きなコアユーザーでもある」と高島秀行社長はみている。
現在、同社の取引のうち、10%がウェブサービス経由で行われている。同社では、取引コストの安さも含めて、さらにデイトレーダーなどに対して訴求を図っていきたい考えだ。
今後は「今ある技術を使って、さらに利便性が向上するように、Ajaxを駆使して、ブラウザを超えた『リッチクライアント』並みの性能に向上させる」ことを目指す。
また、「プラグイン型で、機能を随時追加していけるようなトレーディングツールを開発したい。それをOSSとして、ソースを公開することで、プロジェクトとして開発を進めていく」ことも考えているのだそうだ。トレーディングツールは年内の提供を予定している。
インターネット経由の株取引は、いまや8割以上に達しているという実情がある。GMOインターネット証券では口座開設数は「おそらく300万口座ほど開設されているのではないか」と想定している。
競合企業はSBIイー・トレード証券、楽天証券を含む7社ほど。そのなかでも、インターネット専業証券最大手のイー・トレード証券は240億円以上もの営業利益がある。同社では、「トレードラインを伸ばしていくことで、3年以内にはイー・トレード証券を抜きたい」と高島社長は意気込んでいる。(鍋島蓉子●取材/文)
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