次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>15.NEC(上)

2007/07/16 20:40

週刊BCN 2007年07月16日vol.1195掲載

ウェブ2.0をスイート化

 NECは、ブログやウィキ、RSSソフトのスイート製品「SuiteTwo(スイートツー)」を開発した米スパイクソースと、同製品のマーケティングを展開している米インテルと提携。SuiteTwoの日本語版を中堅・中小や大企業の部門向けに、ASPやパッケージ形式で順次提供していく。
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 NECは一時期、マスメディアからウェブ2.0に関して取り組みが遅れているといわれていたそうだ。当然ながら、社内ではすでにSNSやブログを使っていたが、顧客に対してはウェブ2.0に関する製品を提供できていなかった。インターネットの世界ではすでに当たり前になっているウェブ2.0。だが企業ではウェブ2.0を生産性の向上、業務に役立てる動きがまだ鈍かった。そこでウェブ2.0で先行している米国の技術を活用し、NEC自身の強みを付加した形で事業化するため昨年10月、「Enterprise 2.0」のプロジェクトを発足した。

 新しい技術だけに中央研究所のスタッフをメンバーに入れたほか、グループ会社のNECシステムテクノロジー、OSSに明るいNECソフトウェア東北などからもメンバーを集めた。組織横断的なプロジェクトだけに「ウェブ2.0的なプロジェクト」と塩川正二・市場開発推進本部本部長は称する。「新技術が好きでなければ、ついてこられない」とも。メンバーの半数は指名、半数は募集で集めた。部門や企業間を越えて集まった混成プロジェクトとして、全体では15人で取り組んでいる。

 事業化するうえで、目をつけたのがSuiteTwoだ。NECが一部出資している米国ベンチャー、スパイクソースの製品。同製品はアプリケーションサーバーやDBなどを組み合わせたプラットフォーム「SpikeSource(スパイクソース)コアスタック」の上にシックス・アパートのブログソフト「Movable Type(ムーバブル・タイプ)」米ソーシャルテキスト社のウィキソフト「Socialtext(ソーシャルテキスト)」、米ニュースゲーター・テクノロジーズのRSSリーダー「NewsGator(ニュースゲーター)」をまとめてスイート化したもの。単に寄せ集めでは意味がないため、シングルサインオンや横断検索、統合的なユーザー管理機能を付加している。ただ、製品のすべてのソフトが日本語化されているわけではない。また一部OSSということもあり、OSSのユーザーコミュニティに貢献する必要があった。開発メンバーの6人は今年の5月連休明けから渡米、製品開発を進め、8月いっぱいまで日本語化作業にあたる予定だ。(鍋島蓉子●取材/文)
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