ITジュニアの群像
第50回 津山工業高等専門学校
2007/06/04 20:45
週刊BCN 2007年06月04日vol.1189掲載
今年の大会は津山市が舞台
競技部門は「城址の石垣づくり」で
競技部門は「石垣工務店」開催地の特徴を打ち出す
第18回大会の課題部門のテーマは前回に引き続き「子供心とコンピュータ」だが、競技部門のテーマは「石垣工務店」となった。会場となる津山文化センターが石垣の美しい鶴山公園(津山城址公園)に面していることから、石垣の石に見立てたパズルのピースを石垣の形に組み上げていくという競技内容である。
各チームにはピースをはめ込む石垣の枠と通貨に相当するポイントが与えられ、ピースの入手は入札によって行われる。競技は同時に複数のチームが石垣を組み上げ、しっかりした石垣をより安価に組み上げたチームの勝ちとなる。なお、この通貨ポイントの単位を「TSUYAMA」と呼び、積み上げるピースに特産品(津山は木工技術・製品で知られる)を使うなど、随所に開催地らしさを取り入れているのが特徴だ。
競技のポイントは、(1)厳格なルールが設けられている石の配置方法をどうクリアするか、(2)クローズドオークション方式(他のチームの入札価格が開けられるまでわからない方式)で行われる入札をどう勝ち抜くか…の2点にかかってくる。1対1の戦いなら相手に積ませないために相手方が必要とする石を入札してしまうという方法も多用できるが、今回の競技ではいっぺんに4-8チームほどを同時に進行させるため、「勝ちに行く戦い方」と「負けないための戦い方」の組み合わせ・瞬時の切り替えをどうプログラムに組み込むかが勝負のカギになりそうだ。
若手主体でテーマを決め、上級生が協力にサポート
津山高専でプロコン出場の母体となるのは、創部以来30年余りを経過した老舗クラブのシステム研究部(通称・シス研)。かつて、シス研はロボコン出場の母体でもあったそうだが、その後、情報総研というクラブができ、ここがロボコンへの参加をメインに活動することになった。このため部員をお互いにトレードし、シス件(プログラミング主体)、情報総研(ロボット製作主体)という形に落ち着いたのだという。
部としての歴史は古いが、プロコンでの活躍が目立つようになったのは平成14年度の第13回大会から。13回大会で初めて本戦に出場し、いきなり最優秀賞を受賞すると、翌14回大会で審査員特別賞。そして、15―16回大会と連続して最優秀賞とまさに破竹の勢いだった。
現在の部員は13名(5年生2名、4年生4名、3年生2名、2年生3名)で、部長は青木邦生さん(電子制御工学科4年生)。プロコンで活躍した先輩が次々に卒業し往時ほどの活況はないが、部員たちによる「しんすけぶろぐ♪」を眺めると、上級生・下級生の別なく企画を話し合う雰囲気があり、まとまりはよさそうだ。開催校となる今大会は課題・自由・競技の各部門にそれぞれ1チームを送り込む。応募の締め切りは5月末だが、自由部門のテーマは取材時点ではまだ決まっていなかった。実は2つまで絞られているが、面白さや注目度、実現可能性の判断などに時間をかけている模様だ。
各部門とも2年生と3年生が中心になってエントリーし、4年生と5年生がこれをサポートするという構成になりそうだが、シス研の活動はアルゴリズムの研究にとどまらず、ゲームやアニメ、動画やCG、作曲や編曲、イラストや文筆にも及ぶ。とくに、上級生はイラストならお任せとか、ゲーム製作の要素技術を満遍なくクリアしているとか、プロデューサーなら自分が適任とか多士済々だ。怖いもの知らずの下級生が挑み、強力なサポート力を持つ上級生がカバーするという形で総合力を発揮できれば、上位入賞も十分に期待できそうだ。
全高専参加の活気を引き継ぐ
第18回大会の主管校である津山高専では、プロコン開催の準備が着々と進められている。大会委員長を務めることになる同校の阿部武治校長は、「津山市は小都市なので、大都市での開催に比べればハンディもありますが、昨年初めて全国62高専の全てが参加したことから、その盛り上がりを引き継いで活気のある大会にしていきたい」と語る。
会場となる津山文化センターはBCS賞(建築業協会賞)を受賞したこともある20世紀モダンアートの代表的建築で、作曲家のグスタフ・マーラーをテーマに開催される津山国際総合音楽祭の会場としても知られる。
すでに式典、プレゼン、競技会場、デモ会場の割り振りなど、大会時のレイアウト案も決定済みだ。
やや難があるのは宿泊施設。津山市内だけでは大会参加人数をさばききれないため、会場からバスで1時間弱の湯郷温泉を利用してもらう手配をしている。
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