IT Stock Frontline
ソニーが有機ELに火をつける
2007/05/14 16:04
週刊BCN 2007年05月14日vol.1186掲載
出光など関連企業も好感
4月に開催された薄型パネルの展示会「Display2007」で、話題をさらったのがソニーの有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)ディスプレイである。出展した11型、17型ディスプレイのうち11型は年内に発売することを明らかにした。これまで有機ELパネルは大画面化が困難として、携帯音楽プレーヤーや携帯電話など、どちらかといえばサブ画面的な使用にとどまっていた。ソニーは、大型の有機ELディスプレイ用に、通常の液晶ディスプレイで普及しているマイクロシリコンTFT(薄膜トランジスタ)を開発。既存の液晶テレビの生産ラインを活用でき、30-40型以上も量産可能になるという。一方で、東芝は2009年度にも有機ELテレビを発売することを明らかにした。薄型テレビの次世代競争に一気に火がつく可能性が大きくなった。
これを受けて、株式市場では有機EL関連企業を評価する動きが出た。ソニー製ディスプレイは、出光興産(東証1部)が手がける有機EL材料が使われる。出光興産のシェアは5割といい、残りは東洋インキ製造(東証1部)、新日鉄化学(非上場)、ケミプロ化成(大証2部)など。
また有機ELは、低消費電力で動画表示性能が高く、数ミリから数センチ程度の薄さも特徴。ディスプレイや標識、証明機器向けなど、有機ELパネルを幅広く採用する動きが広がっている。有機ELパネル製造装置メーカーには、トッキ(ジャスダック)、アルバック(東証1部)がある。
このほか、コニカミノルタは米GEと有機ELを使った照明の商品化で提携。将来的には、照明のほか液晶ディスプレイのバックライト、有機ELディスプレイそのものも視野に入れて開発を行う。また、住友化学は有機ELパネルを生産する工場を国内に新設する計画だ。(有賀勝久)
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