SI新次元 経常利益率10%への道
<SI新次元 経常利益率10%への道>【番外編:ITコスト削減の挑戦】43.長崎県(2)
2007/04/02 20:37
週刊BCN 2007年04月02日vol.1181掲載
仕様書は庁内担当者の手で!
ノウハウ蓄積し“丸投げ”脱却
長崎県が、大手コンピュータメーカーへの「丸投げ体質」からの脱却に成功した要因のひとつとして、「システムの仕様書は庁内担当者が責任をもつ」という意識を浸透させ、着実に実行したことがあげられる。政府が「e-Japan」を掲げたのを機に、全国レベルで各自治体は、「電子自治体の構築」「ITによる住民サービスの充実」に動き出した。ただ、その動きで顕在化したのは、各自治体がIT投資のグランドデザインを描けずに、コンピュータメーカーにシステム開発を丸投げする体質だった。自治体には、ITのプロがいないうえに、2-3年で担当者が変わる。システムの企画や運用ノウハウが蓄積しにくいのは当然だ。これが丸投げ体質をつくる元凶になった。
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この仕様書をもとに、大手コンピュータメーカーではなく地場のシステム開発会社に開発を依頼する。「写真(2)」は、地場の開発担当者(左)と庁内担当者が仕様書をもとに、開発の打ち合わせを行っている光景だ。長崎県ではこうした状況が頻繁にみられる。
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ただ、長崎県のコスト削減施策はこれで終わりではない。仕様書作成の自主化とともに島村理事が重要施策として取り組んだのが、オープンソースソフトウェア(OSS)の活用と、満を持して取り組み始めたメインフレームからオープンシステムへの移行だ。
次回は、OSS活用と今後予定されているメインフレームの撤去によるコスト削減効果と、それに向けた長崎県の挑戦に焦点を当てていく。(木村剛士●取材/文)
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