未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>106.ヴィバーク
2006/12/18 20:44
週刊BCN 2006年12月18日vol.1167掲載
業務ソフトの簡単作成ツール
ヴィバーク(大家正巳社長)は業務システム構築ツールである「Bolero(ボレロ)」と、SQLサーバー専用データベース開発ツール「Sarasa(サラサ)」を開発した。大家社長は長年ビジネスソフト開発の現場で、「納期が間に合わない」「品質が悪い」「故障が多い」など、ゼロからシステムを開発する苦しみを何度も味わった。「多くの開発ツールは学術的な観点で作られるため、現場に適合しないものが少なくない」と大家社長はみる。不要な機能をはずし、本当に必要な機能だけに絞り込んだ開発ツールがあれば有益、との発想から起業に至った。ボレロは、販売管理や顧客管理などの業務システムをいかに早く安価に作るかをコンセプトにした開発ツール。DBにはSQLサーバーを採用し、ユーザーが使う画面や帳票を簡単に作成することができる。当初は社内利用のために作ったのだが、展示イベントに出品した際に「売ってほしい」と声がかかったことで、商品化へとつながった。来春にはボレロの新バージョンを発売する予定。「新版で市販の売り方を考えていきたい」と本格展開する計画だ。発売から半年で1000万円、5年後には年間1億円の売り上げを目指す。
一方、サラサは、SQLサーバー上で使うプログラム開発ツール。ボレロを作っている際に「こんなものがあればいいのに、とひらめいて一気に作った」ツールで、SQL文をナビゲートする機能がついている。SQLのプログラミング言語は特定の単語の並びでしかない。タイプミスをなくすため、決まった単語を打つところで単語の候補をポップして選ばせる。「DBは現時点の情報を保持するだけで、過去のデータ状況が分からない」という難点がある。ただ、DBには本質的にバックアップを実装していて、何が行われたか記録されている。そこで、記録を追いかけて、過去の変更履歴を表示する機能も付加した。プログラム処理などに時間がかかり、精度はまだまだと大家社長は評価するが、「克服するとDBの過去のデータを任意の時点にさかのぼれるようになる」。任意の時点で記録の追跡・表示を実現したソフトはまだ存在しないため、もし完成すれば監査などさまざまな場面で有効利用できる。現在は助成金を申請し、採択されれば本格的に開発に取り組んでいく。
「コンピュータは人の生活を豊かにするものだが、それに携わる人は、大変な労力を要するだけで豊かではない」との現実がある。労働集約の世界から脱するため、ソフトが簡単に作れ、しかも安く売れる「本当のあるべき姿」を実現するのが目標だ。(鍋島蓉子)
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