未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>103.アドバンスデザイン
2006/11/27 20:44
週刊BCN 2006年11月27日vol.1164掲載
データ復旧サービスの先駆者
アドバンスデザイン(本田正社長)は、記憶装置やメディアなどに保存されているデータを復旧するエキスパートだ。もともとはアンテナを製造・販売する会社を共同経営していた。今から12年前、HDDが壊れてアンテナの設計データがなくなってしまった。このアクシデントをきっかけに、「データの修復ビジネスをしたい」と思い立った。カナダのHDD復旧サービス会社、アクションフロントと提携して技術を習得。95年に現在の会社を起こした。設立当時は同業者がほとんどなく「HDDの修復なんてできるわけない」と否定的な見方もあったが、今では競合が50社以上もある市場に成長した。現在はデータ復旧サービス「Data Recovery!(データリカバリー)」を核に、データ消去サービスの「Data Sweeper(データスウィーパー)」、データバックアップサービスの「Backup Plus(バックアッププラス)」の3サービスを提供している。
Data Recoveryでは「万一、データを復旧できない場合は無償」と公言する高い技術力が自慢のサービスだ。顧客からHDDを預かり、初期診断、見積もり、修復作業を経て、復旧したデータはCD-Rなどのメディアに移して顧客に返す。HDDメーカーのシーゲイトと取引し、HDDの精密情報を多く保有しているのが同社の強みだ。
Data Sweeperは、04年に開始した。「復旧サービス会社で消去ソフトを自社開発しているのは当社だけ」という。消去したはずのデータが完全に処理されず、漏えいするという事件が01年頃に多発した。一方で、消去ソフトを悪用し、データをすべて消してしまう事件も増えた。そこで「HDD内のデータを完全に消去した後に、消去日時や消した人のアカウントを記録する機能を付加した」。顧客からHDDを預かって消去するサービスのほか、サービス事業者向けに消去プログラムの販売、オンライン上からのデータ消去など多様な提供方法を展開している。
Backup Plusは、01年9月11日に米同時多発テロが起きて以降、ディザスタリカバリ(災害対策)が注目を集めた頃から引き合いが増えた。インターネットを介して提携先のNTT‐MEのストレージにデータをバックアップするサービスで、アドバンスデザインは、データを自動でバックアップするソフトを提供する。万一のために無償で復旧するサービスも付加している。
「目標は3-5年で今の2-3倍に売り上げを伸ばし、一位になること」。データが壊れた時の“駆け込み寺”としてさらに認知を高めていく。(鍋島蓉子)
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