IT Stock Frontline
業績で時価総額に変動
2006/11/27 16:04
週刊BCN 2006年11月27日vol.1164掲載
総合電機3社の順位が入れ替わる
上場企業の2006年9月中間決算の発表は一巡したが、業績の好不調によって株価には明暗が分かれている。業界内での時価総額の順位に変動が起きたのが大手電機。日立製作所、東芝、三菱電機の総合電機3社の時価総額は、昨年まで売上高の規模に比例して日立、東芝、三菱の順位だったが、今年春には東芝が日立を抜き、この11月には三菱も日立を抜いた。順位変動の背景にあるのは業績の格差だ。東芝は昨年以降、携帯音楽プレーヤーなどに使用される記憶媒体のフラッシュメモリに巨額の投資を行い、韓国サムスン電子と並ぶ世界トップの地位を固めた。三菱が事業の中心に選んだのはFA(ファクトリーオートメーション)で、HDD(ハードディスク駆動装置)など競争が激しい分野からは撤退した。
東芝、三菱が事業を特定分野に集中させて業績を浮上させたのに対して、日立は事業分野を広げたまま。07年3月期は投資したHDD部門が苦戦しているほか、原発タービンの破損事故という不運もあり業績の回復は鈍い。こうした状況が株価に投影された格好だ。
一方、注目されたソフトバンクの06年9月中間決算は、最終損益が144億円の黒字(前年同期は41億円の赤字)となった。ボーダフォン日本法人の買収効果に加え、ブロードバンド事業の採算向上が寄与した。ただ、携帯電話事業では、7-9月期のARPU(1契約当たりの月間収入)が5700円と前年同期に比べて4%下落するとともに、NTTドコモ、KDDIを10%超下回る水準。黒字化に貢献した携帯電話事業の先行きについてはバラ色ではないようだ。また、公表したSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の世界最大手「マイスペース」の日本語サービス開始についても、ソフトバンクの株価を見る限り、期待感は乏しい。(有賀勝久)
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