視点
Winnyを取り締まる技術と法の網
2006/10/23 16:41
週刊BCN 2006年10月23日vol.1159掲載
Winnyの場合は、その仕様上、ファイルをダウンロードすると暗号化された「キャッシュ」と呼ばれるデータとして保存され、そのデータは自動的に公開される。これは、著作権者の許可がなければ、いうまでもなく違法である。年間30件もの刑事事件の調査を担うACCSとして放置できない違法行為ではあるが、これまでWinnyユーザーが摘発されたのは1件だけ。これまでは、違法状態にあるユーザーを突き止めることが難しかったのである。
しかし、ここへきて米国のeEye Digital Security社が、WinnyユーザーのIPアドレスを検索する技術を開発した。現在は、テストとともに運用に伴う問題を整理している段階にある。
一方で、法の運用についての議論も進んでいる。プロバイダの責任範囲を定めた「プロバイダ責任制限法」を運用するにあたり、ガイドラインを定めようという議論である。
プロバイダ責任制限法は、掲示板などで名誉棄損の発言があったような場合、被害者が訴える相手を特定するために、サーバーの運営者や掲示板の管理者などに「発言者情報」の開示を求めることや、それに対するプロバイダ側の対応などを定めている。すでに、請求と開示の手順についてガイドラインが作成されているが、今般、議論しているのは、開示基準を明確にしようというものである。ここには、ファイル交換ソフトによる侵害行為も含まれる。
Winnyは、著作権侵害だけではなく、ネットワークのトラフィックの面でも問題になりつつある。現代の社会基盤とも言えるネットワークの安全のため、啓発活動も必要だと思う。少なくとも、タダで手に入れたいという動機のWinnyユーザーには、技術と法が整備された時点で、強い態度で臨みたいと考えている。
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