視点
流通を制するものが市場を制する
2006/10/16 16:41
週刊BCN 2006年10月16日vol.1158掲載
さて、本紙が創刊した1981年は、ちょうどビジネス用パソコンの台頭期。この年、NECのPC─8800や、富士通のFM8が発売され、翌年にはインテルの16ビットCPU8086を搭載したPC─9800が登場する。8ビットマシンに比べて、データ容量は一気に拡大し、漢字変換もスムーズに処理できるようになった。全盛だったオフコンと肩を並べて、パソコンが本格的に活用されるようになるという期待と活気に満ちた時代だった。
当時、エンドユーザー向けの雑誌としては、I/Oや月刊アスキーが急激に部数を伸ばし、パソコンマニアや技術系の読者からは、バイブルとして熱狂的な支持を受けていた。そうした時期に、業界内向けの専門紙として、どのような紙面を目指すかについて、徹夜で議論をしながらBCNの紙面は生まれた。
発刊当初から目指していたのは、「現場主義・実証主義」という考え方だ。当時、販売の現場はといえば、まだまだ小規模だった。秋葉原のラジオ会館のなかに軒を連ねる専門店を頂点に、技術色の強い小さな専門店が全国各地の至るところに雨後の筍のように芽を伸ばし始めていた時代である。
パソコンメーカーさえも、流通の実態を把握できない混沌とした状況のなかで、まず始めたのが、根気よく全国を足で歩いて販売店を訪ね、数値で販売状況を吸い上げ、紙面に掲載していくという取材方式だ。BCNが25年にわたって媒体の生命を保つことができたのは、自分たちの足と眼で市場の実態を確かめ、紙面に反映していくという姿勢があったからだと思う。
パソコンの販売状況については、98年から大手量販店のPOSデータを集計する「BCNランキング」に移行し、取材の主要テーマは、サーバー系やシステム構築ビジネスの市場動向が主軸となった。しかし、基本的な編集方針は変わっていない。市場を動かしているのは、顧客との接点でシステムを組み上げ、販売する人たちの力である。そうした意味で、「流通を制する者が市場を制する」という創刊時のコンセプトはいまでも普遍性をもっている。
BCNはこれからも顧客との接点に視点をおいた紙面づくりをめざします。引き続きご愛読をお願いします。
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