IT Stock Frontline

ネット関連株に試練

2006/10/09 16:04

週刊BCN 2006年10月09日vol.1157掲載

ヤフー、楽天など“旧世代”落ち込む

 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)大手のミクシィが人気を集めている一方で、ネットの“旧世代”グループの株価下落が目立っている。外資系証券の一部からソフトバンク、ヤフーなどの成長性に疑問を投げかけるレポートが8月以降、相次いで出ているが、株価下落に追い打ちをかけたのが米国ヤフーの業績悪化。米国ヤフーは9月19日に開いた投資家向け説明会で、10-12月の売上高が目標の下限にとどまるとの見通しを明らかにした。その理由がネット広告の不振という予想外のものだったことから売りが殺到、米国ヤフーの株価は1日で11%の急落となった。

 この米国ヤフーの株価下落はグーグル、アマゾンといった米国のネット関連株にも波及したのはもちろん、日本のネット関連株も直撃した。株価の下げが止まらないのが楽天。4万円割れ寸前と、今年1月の高値から3分の1近くに下落。時価総額は6000億円割れとなり、長らく新興市場で維持していた首位の座をケーブルテレビ大手のジュピターテレコムに明け渡した。

 なかなか黒字にならないソフトバンク、TBSとの具体的な事業展開が見えてこない楽天、そして市場を揺るがしたライブドア事件──。ネット関連企業の成長力に対する懐疑的な見方は以前から出ていた。そして、楽天など“旧世代”ネット企業が成長のベースにしているインターネット利用者の伸び、ネット利用時間の増加は、ブロードバンドの普及一巡もあって鈍化しており、これまでのような成長は期待できないのではとの懸念が出ている。

 一方、9月19日に新規上場したアフィリエイト(成果報酬型)広告のインタースペースの初値は公募価格60万円の2倍にあたる120万円。ミクシィと同様に新しいビジネスモデルを持つネット企業は人気を集めている。株式市場では世代交代が一気に進み始めた。(有賀勝久)
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