未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>94.IT DeSign
2006/09/25 20:44
週刊BCN 2006年09月25日vol.1155掲載
QRコードにデザイン施す
IT DeSign(アイティーデザイン、佐藤潔之社長兼CTO)は、イラストやロゴの入ったQRコード「デザインQR」を開発・販売している。佐藤社長は、2003年から2年半、国内大手コンピュータメーカーでソフト開発に従事していた。退職に際して「漠然と起業を考え始めていた」ものの、起業するか転職するか迷った末、転職の道を選び携帯電話向けコンテンツ制作会社に入社した。05年春、徐々に社会に普及し始めたQRコードの模様がどれも同じように見えることに着目。「この模様のなかにイラストが入らないものか」と考え、半年ほど勤めたコンテンツ制作会社を退職し、同年8月に起業に踏み切った。「QRコードの仕組みを理解することに最初は苦労した」が、開発期間3-4か月を経て「デザインQR」を開発。同年11月下旬から事業化した。
デザインQRは、QRコードの模様のなかにイラストや文字を埋め込んだもの。顧客からQRコードにしたいURLなどの情報と、埋め込むためのデザイン画像をもとに作成する。単にQRコードに合成するだけではなく、そのデザイン自体もコードの一部として認識するようにしてある。
事業化してしばらくはほとんど営業活動をしていなかったため、当然ながら受注もない状況だった。だが、インターネットの検索エンジン経由で同社のホームページにアクセスする企業が徐々に増えはじめ、「ぽつぽつと注文が入るようになってきた」という。
QRコードにイラストを埋め込む技術は同社以外にないため、今年に入ってマスコミに注目され、一気に受注が増えた。現在は、大手ゲームメーカーや金融機関など30社に採用されている。業種に限らず、携帯サイトで集客したい企業からの受注が多い。これからは販売窓口を増やすため販売代理店を募り、1年間で売り上げ1000万円を目指す。
同社の強みは他社に比べて「どうしたら売り上げアップにつなげられるかなど、QRコードに関してのノウハウを蓄積している」ことだ。
今後はデザインQRだけに限らず、「デザインQRと相乗効果を図れる新しいビジネスを展開したい」と考えている。
また、「他社がやっていないような斬新、ユニークで注目を集めるような事業がしたい」とQRコード以外のビジネスも検討中だ。ウェブサービスなども含め、まずは「アイディアをもとに技術検証やマーケティングを経て、本当に役に立つかどうかを見極めてから具体的にサービス化していきたい」と新規事業にも意欲を燃やしている。(鍋島蓉子)
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