視点

ワンセグの画質改善に柔軟な発想を

2006/08/28 16:41

週刊BCN 2006年08月28日vol.1151掲載

 ワンセグ放送が人気を博している。筆者もあるキャリアのワンセグ携帯を使っているが、ワンセグ放送のこれからの展開を考えると、画面の大きさと画質は大いに問題と、使用しながら常々思う。

 携帯電話でのワンセグ画面は、2インチ程度である。これでは画面サイズが小さすぎ、何が映っているのかよく分からない。これは、ワンセグ独自のコンテンツではなく、普通の地上デジタル放送と同じ画面をサイマルで放送しているからだ。プラズマや液晶での大画面向けに制作する映像を2インチで見て何が面白いのか。

 それなら大画面とはいわないまでも、少なくとも5インチ程度の画面では見たい。ところが、ワンセグの大問題は、画質が劣悪であることだ。ワンセグ放送の解像度は320×240(もしくは180)画素で、フレーム周波数は15コマだ。これでは携帯電話の小さなディスプレイなら、それなりの映像で見えるが、画面が大きくなった日にゃ、今度は、ものすごく劣悪な画質になるのである。

 その典型が、某社の9インチ・ポータブルDVDプレーヤーだ。画質はまったくだめだ。ものすごいボケボケで、何が映っているか、誰だかがかろうじて分かる程度で、とても正視できない。実は、このポータブル・プレーヤーは、アナログ地上波のチューナーも内蔵しているのだが、動きながらの受信は不安定で、映像が流れたり画像が二重、三重になり、とても見るに耐えない。

 結局、大きな画面では、デジタルもアナログもだめなのだ。問題は「1セグメント」いう貧弱な画質リソースしかないことで、これでは応用範囲が限られる。せめて3セグメントほどのデータ量があれば、将来展開は楽しみであるのに。プレステの携帯端末PSPや、一時、不振だったPDAなどで、ワンセグ映像を見たい人は多いだろうに。

 私はアナログに対するデジタルの最大の優位性は「柔軟性」だと信じている。そうであれば、ひとつの解像度に固定されるのではなく、ディスプレイのサイズやコンテンツに合わせて、融通無碍に解像度が適応的に切り替わるという仕掛けぐらいは、世界最先端のデジタル放送なのだから、欲しいところだ。ワンセグ放送はしようがないとして、1から12までのセグメントの使い方に柔軟性を持たせるべきだ。例えば9インチのディスプレイは、3セグメントの情報をゲットできるというように。セグメントの柔軟運用こそが、地デジのサバイバルの道だ。
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