未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>89.jig.jp

2006/08/14 20:44

週刊BCN 2006年08月14日vol.1150掲載

キャリアを選ばない携帯ブラウザ

 jig.jp(ジグ・ジェーピー、福野泰介代表取締役)は、携帯電話向けブラウザを開発するソフト開発ベンチャーだ。設立は2003年5月。起業してまだ3年しか経っていない。だが、同社のブラウザソフトウェア「jigブラウザ」は4万人近くのユーザーが利用するほどになっている。jigブラウザの機能を限定したフリー版は、提供開始が05年5月にもかかわらずダウンロード数は16万件にものぼる。

 05年4月には、jigブラウザ開発のきっかけともなったパケット料金節約アプリケーションソフト「jigアプリ」で、情報処理推進機構(IPA)が行う優秀なソフトを表彰する制度、第一回「IPA賞」ソフトウェア部門を受賞したこともある。

 jigブラウザの強みは、PC用サイトをそのまま携帯電話でも閲覧・操作できること。一般的に携帯電話向けサイトは携帯電話用にアレンジされ、機能が制限されたり、画面が小さいことから、すべての情報を閲覧することができない場合が多い。だが、同社のブラウザを使えばPC用サイトのフル機能を携帯電話の画面でも使えるようになる。携帯電話の画面に合わせて表示方法を変更することもできる。

 また、ブラウザ機能だけでなく、同ブラウザ上で動くアプリケーションソフトを加えられることも特徴で、現在110以上のアプリケーションを用意している。そのなかには、テレビやプロジェクター、エアコンなど複数の家電を携帯電話でリモコン操作できるアプリケーションもある。

 ウィルコムを含め携帯電話キャリア4社のすべてに提供しているのは、「当社以外にない」(島田純・マーケティング本部jigブラウザgr.アプリプランナー)という。約3か月間の開発期間を経て、04年10月にリリース。月額630円、年間利用6000円で提供しており、今年度(07年3月期)末には現在の利用者数よりも2-3万人増やすことを目指している。

 同社のソフトウェアはブラウザソフトだけではない。携帯電話に動画コンテンツを送るためのエンコーダソフトもあり、今年1月から正式にリリースした。まだまだ売上規模は小さいものの、有名歌手の携帯電話向けライブ中継で使用されるなど実績も出始めてきた。

 パケット料金節約アプリケーションソフトにはじまり、携帯電話向けブラウザでユーザーを増やし、今は携帯電話上で動くさまざまなアプリケーションソフトを開発中だ。

 福井県に開発センターを持ち、福野代表取締役の出身校でもある福井工業高等専門学校との連携により、若い技術者が数多く集まる。多くのビジネスとソフト、サービスが増え続けている携帯電話向けのソフト開発企業として存在感を示し始めている。(木村剛士)
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