未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>88.ウェブドゥジャパン
2006/08/07 20:44
週刊BCN 2006年08月07日vol.1149掲載
携帯向け検索エンジンを開発
ウェブドゥジャパン(小渕宏二社長)は、携帯電話用サイト向けのロボット型検索エンジンを「最初に手がけた」(小渕社長)ベンチャーだ。2001年5月に設立し受託ソフト開発事業を経て、04年8月に検索エンジン「CROOZ!(クルーズ)」をリリースした。具体的なビジネスモデルや商品・サービスがないなかの起業だったが、開発を始めた当時、携帯電話用サイトが急増していたことと、自社に携帯電話向けの優秀なソフト開発者がいたこと、そして何より携帯電話用サイトに特化したロボット型検索エンジンがないことに着眼し、開発をスタートさせた。今では約120万のユニークユーザーがいて、約200社の企業が携帯電話サイトの検索機能にクルーズを使うまで普及してきた。
クルーズの検索機能は、「閲覧者が欲しい情報に“迅速に”アクセスできる」ことを特徴にした。キーワードを入力するだけでは、その言葉に該当する情報が膨大で、本当に欲しい情報にたどりつくのに時間がかかる。クルーズは、こうしたユーザーの不満に着目し、データの拡張子や地域、属性などでカテゴリを分けて、そのなかからキーワード検索するようにしたため、自分の欲しい情報が入手しやすいというわけだ。
ウェブドゥジャパンではこの検索機能を使い、検索連動型の広告サービスと、クルーズをOEM提供するサービスを行う。昨年度(06年3月期)の売上高約28億円のうち、このクルーズ関連ビジネスが全体の約45%を占めている。このほか、同社では、クルーズを利用した求人情報サイト「CROOZ!キャリア」を2年ほど前にオープンし、人材紹介ビジネスにも参入した。単なるソフト開発、ネットサービス企業にとどまらず、業容は進化している。
携帯電話用サイトの検索エンジンは、PCサイトの検索エンジン大手2社であるグーグルとヤフーが昨年から力を注ぎ始めた分野。今年5月には、KDDIが携帯電話「au」の検索機能で、グーグルのエンジンを採用することを決めている。大手の追い上げは厳しい。だが、「先行メリットがあり、携帯電話は独特の技術が必要な分野だけに優位性もある。大手の追随は許さない」と小渕社長は自信を示している。市場規模は小さいものの、携帯電話用サイトの広告は伸び盛りで、今後競争はより一層厳しくなるはず。まだ大手が未参入だった時期から製品化した先行メリットが、大手の追い上げにどこまで通じるか。一貫して黒字を維持し、来年度は約35億円を見込むほど急成長中の同社と大手とのつばぜり合いが本格化しそうだ。(木村剛士)
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