IT Stock Frontline

「ユーロ高」が手掛かりに

2006/07/24 16:04

週刊BCN 2006年07月24日vol.1147掲載

欧州への輸出企業にはプラス

 世界的な株安に歯止めがかかったことで、東京市場も過度な悲観ムードは後退している。ただ、株価が大きく回復するには企業収益の上方修正など新たな買い材料が必要。7月末から始まる4-6月期の決算発表を見極めるまでは、マーケットは一進一退の展開になりそうだ。

 銘柄選別の手掛かりのひとつになっているのが「ユーロ高」。欧州中央銀行は8月初めにも利上げに踏み切る見通しで、それを読んで為替市場は「ユーロ高・円安」が進行。これは欧州に輸出を行う日本企業の収益にとってはプラス。今期の業績見通しでユーロの前提レートは、1ユーロ=135円とする企業が多い。現状ではそれよりも約10円安に振れており、この水準が続けば収益上積み要因となる。欧州向け輸出比率の高い企業はコニカミノルタ、オリンパス、セイコーエプソン、ソニー、キヤノン、任天堂などだ。

 なかでも任天堂は今年の高値を抜いており、ユーロ高メリットに加え業績上方修正期待が株価を支えている。「DSライト」は7月24日発売の「DSブラウザ」によって手軽にインターネットのホームページを閲覧できるようになる。「DSライト」の月産能力は6月に220万台(従来比40%増)に増強、6月には米国、欧州での販売もスタートした。

 逆に株価が急落したのがソフトバンク。株価は2200円台と年初の5000円台から大きく下落した。年初にかけての株価上昇時に膨らんだ信用買い残の期日売りがかさんでいることも下げの要因だが、メリルリンチ証券が投資判断を「売り」として妥当株価を1800円としたことを嫌気した。同社のタイムマシン経営(日米のネット普及度の差を背景に米国のサービスを日本に持ち込む)が移動通信分野では通用せず、競争力確保は難かしいとの見方を示している。(有賀勝久)
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