視点

立場入れ替わるサーチ型広告とバナー広告

2006/06/19 16:41

週刊BCN 2006年06月19日vol.1142掲載

 米国のインターネット広告の業界団体IABは5月30日、2006年1─3月期の米国インターネット広告市場規模を発表した。これによれば、06年1─3月期のインターネット広告市場は、前年同期の28億ドルから39%増加して39億ドルに達した。

 このペースが続けば06年の市場規模は年間160─170億ドル程度になるだろう。5年前の01年の市場規模は71億ドルだったので、5年間で2倍以上というスピードでインターネット広告市場が拡大していることがわかる。

 このインターネット広告市場の拡大を支えているのは、サーチ型のインターネット広告である。サーチ型の広告は、検索エンジンに入力されたキーワードやフレーズに対応して検索結果のページに表示される検索連動型広告と、提携するウェブページにそのコンテンツと関連の深いテキスト広告を表示するアドセンス広告に分けることができる。

 00年時点ではサーチ型広告はインターネット広告市場の1%にすぎなかったが、05年には41%を占めるにいたっている。一方で00年にはインターネット広告市場の47%を占めていたバナー広告は、05年には20%に縮小している。

 サーチ型広告は、関心をもつ利用者にのみ表示されるため効率がよく、また、その広告がクリックされた回数に応じて広告料金を支払えばよいものが多く、費用対効果を重視する広告主に歓迎されたと考えてよいだろう。

 そもそもインターネット広告は、ターゲティングが可能で、リアルタイムで広告の効果が測定できるという特徴を持っている。

 サーチ型広告は、その特徴を最大限に生かした広告なのである。

 ちなみに、このサーチ型広告を大きな収入源にしている企業がGoogleである。Googleの05年の売上高は前年比92・5%増の61・4億ドルであるが、この55%に相当する33・8億ドルを直営サイトにおけるインターネット広告、つまり検索連動型広告によって得ており、残る45%のほとんどがアドセンス広告である。

 米国では広告市場に占めるインターネット広告の割合は5%前後に達している。この割合は5年後に10%を超えるのではないだろうか。

 つまり、企業にとっても、インターネットは、テレビや新聞に次ぐ重要な広告媒体になりつつあるということを意味している。
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