IT Stock Frontline

楽天など新興市場が厳しい下げ

2006/06/19 16:04

週刊BCN 2006年06月19日vol.1142掲載

本格的な回復は7月以降か

 波乱が続く東京市場。東証1部企業の株価の動きを示す日経平均は今年4月の高値から約17%の下落となっているが、中堅企業やベンチャー企業が上場する新興市場(東証マザーズ、大証ヘラクレス、ジャスダック)の下げはさらに厳しい。東証マザーズ指数の場合、ライブドア・ショック直前の今年1月につけた高値からは半分以下に下落している。

 株価下落の要因を整理すると、まず米国の利上げに打ち止め感が出ないために、ヘッジファンドを中心にした海外投資マネーの一部が日本やアジア市場から引き揚げる動きを見せていることがあげられる。

 国内のマイナス要因としては、(1)量的緩和に続いてゼロ金利解除の時期が近づいている(2)企業が打ち出した2007年3月期の業績見通しが慎重で失望感が出た(3)一時は1ドル=110円を突破する円高基調──など。そして中央青山監査法人の処分を背景に監査法人の監査が厳しくなっていることも影響している。06年3月期決算では、次期の業績見通しなどについて厳しく指導されたIT関連企業が多かった模様だ。

 退潮気味の新興市場をみると、代表的な銘柄では携帯コンテンツのインデックスが1月の高値から株価は3分の1に下落、楽天は40%超の下げとなっている。

 では新興市場の立ち直りはいつか。新興市場は個人投資家の売買の比重が高いが、信用取引を使った買いの資金が株価下落で固定されたままの状況になっている。株価が戻ればそうした潜在的な売りが出てくるだけに、短期間での急回復は期待薄。本格的な回復は1月高値時の信用取引の決済期限である7月に入ったあたりからとの見方が多いようだ。

 それまでは、新規上場株が短期売買の資金を集めて人気化することが予想される。(有賀勝久)
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