IT Stock Frontline
軟調市場だが、IPO人気は健在
2006/06/12 16:04
週刊BCN 2006年06月12日vol.1141掲載
6月の新規公開企業は最多
約1か月のインターバルをおいてIPO(株式新規公開)が5月末から再開された。6月の新規公開企業は24社と、月間では最多となる。ライブドア事件をきっかけにしたIT関連企業への不信感、監査法人の指導強化で中堅企業の業績見通しが慎重になってきたこともあり、軟調な株式市場のなかでも特に新興市場の不振が目立つ。しかし、新規公開企業に対する個人投資家の投資意欲は衰えておらず、人気を得ている。IT関連の新規公開株も順調だ。
6月5日に夢の街創造委員会が新規上場(大証ヘラクレス)。飲食宅配・出前のインターネット注文サイト「出前館」を運営。「出前館」へのアクセスで、ピザ・弁当・すしなど都道府県・市町村別に分かれた約5900店の宅配サービスが利用できる。年中無休(9-24時)体制でパソコンや携帯電話から受注、会員登録者は約59万人(今年3月末)を数える。サイト利用者の注文金額に応じた手数料、店舗ごとのサイト掲載料・初期登録料などが主な収入源。業績は2005年8月期に黒字化した。主要株主上位にはインデックスやヤフーなど「出前館」事業の共同運営会社が並ぶ。
6月7日にはキーウェアソリューションズが新規上場(ジャスダック)。インフラ関連のソフトウェア開発を手がけるシステム開発会社で、大株主はNEC、三菱商事。74年に宇宙開発事業団の試験ロケットの打ち上げにかかわったのをきっかけに、宇宙開発分野に本格参入。以来、衛星追跡管制やロケットの飛行安全、衛星や宇宙ステーションの運用管制ネットワーク構築などに実績を持つ。ほかにも官公庁業務やメディア業界向けシステムなど、広範かつ特殊な分野でシステム構築に携わっている。IP電話への取り込み強化のほか、コンサルティングやERPソフト、医療関連など総合サービス事業にも力を入れる方針。(有賀勝久)
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